2017 Fiscal Year Research-status Report
近接施工が複合基礎構造物の支持特性と耐震性能に与える影響評価
Project/Area Number |
16K06489
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 俊一 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (10243065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 樹典 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (10143877)
西藤 潤 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40456801)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 基礎構造物 / 剛塑性解析 / 可視化実験 / 模型実験 / 近接施工 / 支持力 / 耐震性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)基礎構造物の極限支持力を評価するために必要となる数値解析法について,昨年度に引き続いて2次錐計画に基づく剛塑性有限要素法の開発を進め,支持力解析や斜面安定解析への適用性,数値解析上の留意点,プリポスト処理などについてノウハウを蓄積した.本研究で開発している混合法の空間離散化,速度場は3次元1次要素:四面体による空間離散化,応力場は四面体の各面(2次元1次要素:三角形)ごとに離散化する要素においても,従来の変位法に基づくメッシュ分割と同様に,特異点周辺の空間分割を細かくすれば解の精度が上がることを確認した. (2)小型土槽底部の落とし戸による近接施工を模擬した2次元土槽模型実験を行い,パイルドラフト基礎の杭体(矢板)ひずみ分布の変化や基礎構造物周辺地盤の変形場を画像解析により計測した.落とし戸降下に伴って地盤内には緩み域が進展していくが,それに伴って矢板内に曲げモーメントが発生することを確認した.これは基礎の支持機構にも影響を及ぼすことを示唆するものである. (3)石英粒子・スクロース水溶液系による地盤内可視化実験法について,模型地盤作製のノウハウを蓄積し,実験手法を確立した.液体としてミネラルオイルあるいはシリコンオイルを利用する方法では,土壌に油分が付着することにより,実験室内の環境維持や実験後の廃棄物処理に問題があった.そこで高濃度スクロース(ショ糖)水溶液を利用した透過地盤作成法について検討した.スクロース水溶液は安価かつ安全な材料であるが,高粘性であるために模型地盤を飽和させるために工夫を要する.いったん水による飽和模型地盤を作成した後,密度の大きなスクロース水溶液を土槽底部から注入し,上向き浸透流によってゆっくり間隙流体を置換する水中置換法により,安定的にスクロース水溶液による透過地盤作成が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模型実験については,砂質材料を用いた落とし戸実験,および透過地盤材料を用いた3次元可視化実験のいずれについても,予備的な実験を実施し,実験手法としての実現可能性を確認した.とくに透過地盤材料については,実験室環境や実験後の廃棄物処理の観点でより環境負荷の小さな手法を開発できた. 数値解析手法については,引き続きプログラムコードの開発を行っているが,最適化エンジンとして汎用最適化ソフトGUROBIを利用しているため,モデルの開発や問題記述手法の改良に専念できるために開発効率がよい. これらの理由から,上記の判断に至った.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)数値解析手法の開発及び高度化については,引き続き開発を継続する.主たる課題としては,問題を記述するための簡潔な書式や3次元メッシュ作成法の効率化を図ることである. (2)落とし戸模型実験については,基礎構造物に作用する荷重レベルと近接施工の影響性を明らかにする必要がある.また耐震性能に大きく関与し,しかも地盤浅部の影響が大きな水平抵抗や引き抜き抵抗についても,その影響度を比較できるためのデータを実験的に収集する必要がある. (3)透過地盤による可視化実験を利用し,水平抵抗や引き抜き抵抗時の地盤内部挙動を観察することにより,基礎構造物と周辺地盤の相互作用の特徴を抽出し,支持力発現メカニズムの要点を整理する.
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Causes of Carryover |
予定していた謝金が必要なくなったため,実験に必要な消耗品に充てたが余剰額が生じたために繰り越しとなった.
余剰額については次年度使用額と合せ,まとまった量を購入する必要がある実験消耗品(石英粒子,スクロース水溶液)の購入に充てる予定である.
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Research Products
(7 results)