2017 Fiscal Year Research-status Report
沿岸漂砂フラックスのリモートセンシング観測手法の確立
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16K06502
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武若 聡 筑波大学, システム情報系, 教授 (80202167)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 沿岸漂砂量 / Xバンドレーダ / SAR衛星 / 鹿島灘 / 汀線 |
Outline of Annual Research Achievements |
沿岸漂砂フラックスの分布,時間変化は海岸侵食の長期的な動向を定める要因である.ここでは,Xバンドレーダ観測とSAR衛星データの観測結果を合わせて解析し,中短期のスナップショット的な局所の沿岸漂砂フラックス,年平均程度の長期間の沿岸漂砂フラックスの全域の分布を推定する手法を確立することが研究目標である. (1) 既存のXバンドレーダにより海岸地形を連続的に観測し,汀線変動を捉えた.平均画像より汀線位置を半自動的に抽出し,波の遡上効果を補正する手法を確立し,現在の観測結果に加えて,過去の観測結果より汀線位置データベースを作成した.これらのデータは,沿岸漂砂フラックスを推定するために用いられる. (2) SAR 衛星データを収集し,広域の汀線変動の季節変化を追跡可能なことを確認した.EOF 解析により,変動を岸沖方向成分と沿岸方向成分に分離し,季節変化ならびに長期トレンドをそれぞれ明らかにした.これとXバンドレーダで観測した局所の汀線変動と合わせて分析を行い,観測域全体の沿岸漂砂フラックス分布の推定に着手した. (3) 対象域の波浪場再解析データを入手し,地形データと合わせた1lineモデルによる同化解析に備えた.この際に,波浪データが必要とする分解能は数百メートル程度となることが,Xバンドレーダの観測結果より明らかにされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
沿岸漂砂量をモデルを介して推定する準備はできたが,レーダにより直接沿岸流則を計測するための研究が遅れている.画像の平均化の検討,レーダ信号の特性分析等を行う必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
観測を継続する.これに加え,沿岸漂砂フラックスの推定モデルの確立を行う.具体的には,局所と全領域の観測結果を統合し,長期的な汀線動向を表現する沿岸漂砂フラックス分布を推定する.観測結果には岸沖方向の砂移動による汀線変化が含まれるが,これを分離することが合理的な沿岸漂砂フラックスの評価につながる.この分離は,桟橋で海浜断面形状の定期観測結果の解析,入射波浪エネルギーの岸沖成分の算定等を通じて行い,その妥当性は上に述べた1-lineモデルの同化結果から検証する.
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Research Products
(4 results)