2016 Fiscal Year Research-status Report
社会的相互作用を考慮した持続可能な都市構造と交通システムの評価に関する研究
Project/Area Number |
16K06540
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
奥嶋 政嗣 徳島大学, 大学院理工学研究部, 准教授 (20345797)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | マルチエージェントシステム / 交通シミュレーション / 温室効果ガス / 電気自動車 / 自転車利用 / 交通手段転換 / 健康意識 / 環境意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチエージェント型ネットワーク交通行動シミュレータの基本システムを構成するとともに,温室効果ガス排出量削減などの評価指標を整理し,交通政策についての持続可能性評価を可能とした. 1.持続可能な都市構造の実現に向けた段階的な都市政策シナリオについて,長期間を対象として総合的に評価するために,持続可能性アセスメントおよび災害に強いまちづくりなどに関する既存研究をレビューした.これに基づいて,温室効果ガス排出量の削減,生活利便性の向上,災害リスクの低減,健康寿命の増長などの評価の基本的な観点と評価指標および計測方法を整理した. 2.災害リスクの低い都市拠点周辺への立地誘導のための土地利用規制,都市施設整備などの立地誘導政策と,経済的インセンティブ政策,低排出車両の普及促進,公共交通システム整備および自転車空間整備などの都市交通政策の相互補完的な役割を整理した. 3.環境意識および健康意識に着目したアンケート調査結果に基づいて,生活習慣,生活時間,ストレスの現状および交通手段転換意向を把握するととにもに,個々の身体活動量を計測した.日常的な身体活動が十分でない自動車通勤者を対象とし,生活時間の制約を考慮して,健康のために自動車利用を控えて自転車・徒歩利用を促進する要因を特定した. 4.クリーンエネルギー車両の普及について,課金システムの設定などとの関係にも対応した世帯保有車両更新モデルを構成した.このとき,アンケート調査結果に基づいて,世帯属性,世帯での現有車両とその燃費,自動車利用状況,環境意識および社会的相互作用を考慮してモデルを構築した. 5.マルチエージェント型交通シミュレータを適用し,現状に対する無政策での交通状況とその経年的な推移を推計した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会実験などとの連動を検討するためにアンケート調査を次年度に実施することにしたが,事前に行ったWebアンケート調査結果データを利用して各種の分析を進めることができている.
|
Strategy for Future Research Activity |
対象都市圏における新築住居の居住者を対象としたアンケート調査に基づいて,居住地選択に関わる地価を含む各種要因を特定するとともに,勤務地・学校などとの位置関係に加えて,家族との近居,近隣世帯との同質性などの社会的相互作用の影響を把握する. 地価および生活環境,交通利便性,災害リスクなどを要因とし,世帯構成および家族との近居を含む社会的相互作用を考慮した居住地選択モデルの構築する.ここで,居住地選択における個人の異質性を表現するために階層ベイズモデルを適用する. 持続可能性評価モデルを構築し,各時点での人口分布および交通行動結果および各種交通指標の推移から,温室効果ガス排出量の削減,生活利便性の向上,災害リスクの低減,健康寿命の増長などの持続可能性評価指標を算出可能とする.また,各時点での持続可能性評価指標に応じた立地誘導政策および都市交通政策の調整方法についても検討する. 保有車両更新モデル,社会的ネットワークモデルおよび交通手段変更モデルを含むネットワーク交通行動シミュレータからなる基本システムに,構築した居住地選択モデルおよび持続可能性評価モデルを統合し,マルチエージェント型都市活動シミュレータを構成する.これにより,立地誘導政策および都市交通政策からなる段階的な都市政策シナリオを評価可能とする. 対象都市圏における持続可能性評価指標について,バックキャスティングに基づく段階的な目標を設定する.この段階的な目標設定に対応して,財源面の制約を考慮しつつ,各種政策を組み合わせた段階的な都市政策シナリオについて,その効果を推計し,持続可能性について評価する.
|
Causes of Carryover |
アンケート調査の実施に必要な金額を計上していたが,社会実験などとの連動を検討するためにアンケート調査を次年度に実施することにしたため,次年度に繰り越しが生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度はアンケート調査を実施する予定であり,繰り越した金額は当初予定どおりの項目に使用する計画である.
|
Research Products
(3 results)