2017 Fiscal Year Research-status Report
効率性と衡平性からみた燃費性能に応じた保有課税と走行距離税の比較評価
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16K06544
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
谷下 雅義 中央大学, 理工学部, 教授 (30242001)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乗用車の保有・利用 / おとり効果 / 時間節約価値 / 時間信頼性価値 / ハイブリッド車 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,以下の2つの研究を行った. 1)ドライバーの時間価値(Value of travel time savings: VTTS)および時間信頼性価値(Value of reliability: VOR)を表明選好アプローチにより推定する際に生じる信頼性について,「おとり効果(Decoy effect)」の手法を用いて推定する方法を提案した.どういう人がおとりにかかりやすいのか,また価値の推移律を満たさない人を除くことによって,どの程度,VTTSやVORが変動するかについて実証分析を行った.その結果,急いで回答したり日常とは異なる行動を選択した人がおとりにひっかかりやすいこと,また推移律を満たさない人を除くことで,VTTSやVORが10-15%程度変動することを明らかにした. 2)ハイブリッド車の保有および利用特性について,国土交通省道路局のパネルデータを用いて実証分析を行った.特に,利用(走行距離)については,自己申告で数値を回答してもらった研究が多いが,本研究では,オドメータの値も回答してもらっており,パネル分析において,オドメータ差から走行距離を得ることも可能である.ただし,このオドメータ値も自己申告であるため,自己申告の走行距離とオドメータ差による走行距離がほぼ同じ場合は,信頼性が高い,乖離がある場合は,信頼性が低いと判断して,それを重みとして分析を行った.その結果,保有については年齢が高くなるほど保有されやすい,また走行については,世帯特性を調整したうえで,軽自動車やガソリン乗用車よりも5%長い,すなわち走行距離が長い世帯がハイブリッド車を保有する傾向にあることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乗用車の保有・利用特性を把握することができた.今後,貨物車および走行距離税の導入の影響評価を行っていく必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降,以下の3つの研究を進める. 〇乗用車:走行距離税導入の影響分析ができるモデルの検討 〇貨物車:保有・利用特性の把握とそれを踏まえたモデル検討 〇これらを統合して,走行距離税と燃費に応じた保有課税の比較.
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Causes of Carryover |
新たに科研費の研究分担者となることが決定し,その研究のために,時間と費用を使うことになったため. また,これらについては,海外の情報収集や研究者との意見交換を行うとともに,データの購入あるいは分析のための謝金支払に充てたいと考えている.
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