2019 Fiscal Year Annual Research Report
Compatrison of ownership and mileage tax from the view point of efficiency and equity
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16K06544
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
谷下 雅義 中央大学, 理工学部, 教授 (30242001)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 走行距離税 / 自動車関連税 / ガソリン価格弾力性 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車関連税は,交通安全・騒音・大気汚染・気候危機など外部不経済の制御手段であるが,同時に道路の維持管理費の重要な財源となっている.道路維持管理費用は2018年において約2兆円,今後もその増大が見込まれているが,燃料税収は,エコカーの技術開発またそれらの普及により2010年をピークに減少している.本研究では,この財源として「走行距離税」について検討した. 具体的には,以下の2点について分析を行った.1.貨物車を対象とした本車種別業態別の貨物車の保有・走行距離推計モデルを構築し,走行距離税が保有・走行やCO2排出量,税収への影響シミュレーション.2.乗用車におけるガソリン価格弾力性の推定.ガソリン価格は地方ほど高い傾向があり,単純な回帰分析ではガソリン価格と走行距離が正の相関を有する.本研究では,対象集団に観測されない異質性が存在することを前提に,集団を構成する具体的な混合分布モデルを探索する潜在クラス回帰分析を用いる. その結果,以下の知見を得た. 1)シミュレーションにおいては,税収一定の下ではBAUより税収は増えるがCO2も増加する可能性があること,また燃料税を本則で残すことにより,税収増とともにCO2削減も期待できることを示した. 2)ガソリン価格に反応する世帯は約3割であり,それは公共交通の不便な地方で走行距離が長い世帯である.ガソリン価格弾力性は-0.09と推定された.また,公共交通の利便性が高い都市では弾性値はほぼゼロであると推定された.都市では公共交通という代替手段があるため弾性値は都市の方が高いという仮説も成り立ちうるが,そもそも自動車走行距離が短く,かつ所得も地方にくらべて相対的に高いため,ガソリン価格の影響は受けにくいと考えられる. 乗用車の取得・保有段階への影響も踏まえた包括的な走行距離税の導入効果の分析が今後の課題である.
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Research Products
(1 results)