2016 Fiscal Year Research-status Report
津波による漂流物が建築物に与える衝撃荷重特性と被災規模の定量的評価
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16K06588
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
増田 光一 日本大学, 理工学部, 教授 (10120552)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 津波伝播計算 / 漂流物評価 / 港湾の脆弱性 / 衝突圧力 / MPS法 / FEM / MPS-FEMカップリング / 衝突荷重計測実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、津波漂流物の発生が顕著となる港湾や津浪条件を選定及び設定するために、津波伝播・津波遡上並びに漂流シミュレーションを実施することで、港湾の脆弱性を明確にし、検討対象港湾を選定する作業を進めながら、プログラム・コードの開発と水槽実験を次のように実施した。A.津波伝搬と漂流物評価(増田)申請者らが有する津波伝搬シミュレーションプログラムを用いて,南海・東南海・東海三連動地震津波を中央防災会議予測レベルで再現し(これは既に実施可能),津波浸水深・津波波高が高く,港湾施設と居住地域が隣接する,あるいはコンテナ埠頭がそれと隣接するなどの地域を選定する作業を実施し、その結果清水港を検討対象港湾として選定した。本研究活動では大学院生と卒研生の研究協力を受けながら,数値計算を実施した。その際,GIS ソフト(既に利用中)を用いて対象になり得る地域選定のデータベースを構築した。(数値計算とGISによるデータベース構築のためにパソコンを必要とするため購入した。B.MPS-FEM を用いたオイラー・ラグランジュカップリング法の開発(増田、居駒、惠藤)申請者らはMPS 法コードだけでなくFEM による構造解析のインハウス・コードも有している。本FEM コードでは非線形解析や大変形・崩壊解析はできない。まず,MPS 法による流体-漂流物連成系に与えられる壁面上(境界上)での流体圧力または衝突圧力(節点荷重)を元にして,壁面表面の変形に伴う境界変位速度を同時にMPS 解析部分とFEM 解析部分とで境界条件を接続させる,オイラー・ラグランジュカップリングによる計算システムを構築する為の文献研究を実施した。C.水槽実験(居駒・惠藤)数値計算の検証用データ取得を主たる目的と実験計測システムを構築していくための基礎実験として,津波による物体(剛体)漂流とそれによる衝突荷重(衝撃荷重)計測実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検討対象港湾の選定が終了しており、津波伝播シミュレーションの結果を基に港湾津波ハザードマップを作成し、対象港湾の脆弱性が明らかになっている、また、粒子法(MPS法)を用いた津波漂流物による衝突荷重の計算精度が水槽実験結果との比較から検証されている。従って、より合理的な粒子法(MPS法)-有眼要素法(FEM)カップリング手法の本格的な定式化及びプログラム開発の検討を現在行っている。また、数値シミュレーションに必要な基本データ例えば断層パラメータ、対象港湾の地形データ等の収集、作成も同時に実施している。 以上により研究は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
粒子法(MPS法)-有限要素法(FEM)カップリングによる数値計算システムの構築を行う。本計算システムの精度を水槽実験結果との比較考察により検証する。本数値計算システムの計算時間の短縮を図る手法を検討し、その成果を数値計算システムに導入することにより本システムを確立する。本数値計算システムを用いて対象港湾に隣接する危険施設、例えば石油貯蔵タンク等に津波漂流物が衝突した場合を想定した数値シミュレーションを実施し、施設の被害状況を明らかにすると同時に2次被害の可能性に関して考察する。さらに、シミュレーション結果を基に港湾機能維持計画及び臨港都市の津波防災計画に有用なデータを提供する。
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