2017 Fiscal Year Research-status Report
車両と遊戯施設の水平振動を対象とした振動感覚に及ぼす音の影響に関する研究
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16K06622
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松田 礼 日本大学, 理工学部, 教授 (30469580)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 振動感覚 / 車両振動 / 振動環境 / 振動レベル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,振動加振機上の椅子に被験者を着座させ,振動と音を同時暴露したときの生体反応(心理・生理反応)を測定する実験的研究を行っており,車両や遊戯施設から発生する振動を対象として,振動感覚に及ぼす音の影響を検討することを目的としている。 本年度は,まず実験で得られた水平振動の音量・振動感覚曲線(振動と音を同時暴露した時に両者を同等の大きさに感じる等価騒音レベルと振動レベルの関係を示した曲線)を精査し,これまでに実施した鉛直振動の結果との比較を行った。その結果,振動と音を同等の大きさに感じる等感覚音量は,1つの値で定まるものではなく,15dB程度の帯域幅をもつことを明らかにした。また,振動感覚は鉛直振動の方が水平振動よりも大きく,その差は振動レベルで10~15dB程度であったことから,鉛直振動の方が水平振動よりも感度が高いことが分かった。次に,振動感覚に与える音量の影響について,前年度よりも設定条件範囲を広げて実験的に検討した。その結果,振動の不快感について,一部の条件で音量が大きくなると不快感が増加する傾向が認められたが,振動単独(振動のみの暴露条件)に対する有意差はほぼ確認できなかった。 最終年度に当たる次年度は,1条件あたりの暴露時間を拡張し,生理・心理反応の経時変化に主眼を置いて実験・分析を進める。また,感覚器が異なる振動と音の優位性について実験的に調べ,振動と音の同時知覚のメカニズムについても検討を進め,研究成果をまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,水平振動暴露の実験から得られた音量・振動感覚曲線を精査し,これまでに実施した鉛直振動との比較を行った。また,水平振動と鉛直振動の感度について検証した。実験の結果,振動と音を同等の大きさに感じる等感覚音量は15dB程度の帯域幅をもつことが明らかになり,鉛直振動の方が水平振動よりも感度が高いことを示すことができた点はおおむね予定通りの進捗であったといえる。 振動感覚に与える音量の影響について検討した結果からは,振動不快感は一部の条件で音量の増加により増加する傾向がみられたが,振動単独に対する有意差はほぼ確認できなかったため,生理反応との関連性を含めた解析も含めて研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
振動感覚に与える音の大きさに着目して実験を行ったが,振動不快感への影響は一部の条件でみられたものの,振動のみの条件(振動単独)に対して有意差が確認できた条件は少なかった。この結果を受けて,次年度は1条件あたりの暴露時間を現在の30秒から15分程度に拡張し,生理・心理反応の経時変化にも着目して実験・分析を進める予定である。また,これまでに明らかにしてきた,音量・振動感覚曲線を踏まえて,車両振動環境において人間は音と振動のどちらを優位に感じるのかについて実験的に調べ,振動と音の同時知覚のメカニズムについても検討する予定である。次年度は最終年度となるため,これまでの研究成果を基に学術的に未解明な部分を精査し,研究成果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
(理由)国内旅費の支出額が近隣出張のため予定よりも少なかったことによって,次年度使用額が生じた。 (使用計画)旅費支出が予定より少なかったため,学会発表件数を増やすことで使用する予定である。また,生理反応測定のための消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)