2017 Fiscal Year Research-status Report
牧畜集落における生業維持と地域づくりへ資する牧畜民生活領域の保全実施計画
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16K06628
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 理恵 北海道大学, 工学研究院, 助教 (20599104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 哲 北海道大学, 工学研究院, 助教 (90455105) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 牧畜集落 / 地域計画 / 中国 / モンゴル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中国・内モンゴル自治区を対象とした牧畜民の生活領域の保全計画策定に向け、これまでに実施している文化的景観の視点を取り入れた価値評価のうち、歴史的考察を強化したうえで、牧畜地域における生業を維持するしくみの検討、保全・管理主体の構築を試みることで、保全実施計画策定の段階へ進展させることを目的としている。 平成29年度は、内モンゴル大学との連携を深めるため、現地研究者との議論の場を設けた。ここでは、建築分野のみならず、文化人類学、生態学、社会学など各方面の専門家との議論が実現している。 更に、牧畜業の多角経営による生業形態及び居住空間の変化を分析するため、草原観光地における旅行社、民泊経営をする牧畜民に対する現地調査を実施した。モンゴル文化の継承を教育的に実行している事例から、牧畜業を制限される禁牧政策の影響まで幅広い事例がみられ、より詳細な調査の必要性が確認された。また、現地調査を通じて、行政機関関係者との関係構築にも努め、今後の保全・管理体制の構築へ向けて議論できる環境の整備を行った。 なお、モンゴル国におけるウランバートル近郊における「ズスラン」の実態調査についても分析を進め、論文としてまとめた。モンゴル国における土地制度や住宅政策、都市問題の改善につなげるため、今後も引き続き範囲を広げた調査の必要性を確認した。 日本では、主に北信越・東北地方において季節に応じた二拠点居住を古くから続ける地域で実施した調査結果をまとめ、研究会での議論を通じて書籍及び論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内モンゴルでの現地研究者との議論や現地調査を通じて、実現可能な目標設定や分析の方法を確認することができた。なお、これまでの調査を論文等で発表することにより、より深い議論を展開できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これまでの調査をもとに、具体的な保全・管理計画についての議論を進める。また、夏を中心とした観光の現地補足調査を行い、分析の精度を高める。
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Causes of Carryover |
理由:海外現地調査の実施を優先したが、研究代表者本人による調査であったため、人件費や謝金は使用せず、次年度の資料のまとめ作業にかかる経費として繰り越すこととした。 使用計画:最終年度となるため、これまで収集している資料の整理、まとめ、及び論文投稿などを進めるため、繰越金を翻訳や資料整理補助の人件費などに充てることを中心として、随時補足調査などを実施する。
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Research Products
(5 results)