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2016 Fiscal Year Research-status Report

スペイン統治下の南イタリアにおける中世末期からルネサンスへの建築の変遷

Research Project

Project/Area Number 16K06679
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

飛ケ谷 潤一郎  東北大学, 工学研究科, 准教授 (30502744)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords南イタリア / スペイン / ルネサンス / アラゴン家 / 建築書
Outline of Annual Research Achievements

平成28 年度では、当初予定していたスペインの調査が先送りになり、イタリアの調査から着手することになったため、その成果物もイタリアに関するものとなった。まず〔学会発表〕からみていくと、9月にパナソニック汐留ミュージアムで行われた下記の招待講演が挙げられる。この講演では、ミケランジェロは本当に古代を凌駕したのか、そしてどのようにすれば古代を凌駕したといえるのか、という問題を設定し、彼の建築素描に描かれた古代建築や建築のオーダーを中心に論じた。また、「セルリオの建築書『第五書』の宗教建築の礼拝堂について」と題する原稿を執筆し、今年9月に広島工業大学で行われる日本建築学会大会で発表するために投稿した。
次に〔図書〕のひとつとして、監修に携わった『ミケランジェロ展』に収められた下記の論文があげられる。この論文では、彫刻家として活動をはじめたミケランジェロが、見地設計にも挑戦する過程を、建築図面の表現上の変化から辿って、立面図重視から平面図重視への変遷を明らかにした。
また〔図書〕のもうひとつとして、ジョルジョ・ヴァザーリ『美術家列伝』所収の建築家の伝記の翻訳と解題があげられる。フラ・ジョコンドはおもにヴェネト地方、バッチョ・ダーニョロはフィレンツェ、そしてアントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョーヴァネはローマで活躍した。前述の〔学会発表〕や〔図書〕との関連性についてみると、フラ・ジョコンド版『ウィトルウィウス』はセルリオの建築書にも大きな影響を与え、バッチョ・ダーニョロとアントニオ・ダ・サンガッロはミケランジェロとは対立関係にあったものの、都市景観を刷新するようなパラッツオを設計した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度は、科研費による研究以外に多くの仕事が集中したため、現地調査前にスペイン建築史に関する文献を十分に読解し、精緻な計画を立てることができなかった。そこで、すでにある程度研究の蓄積もあるイタリアの調査を先に進めることにした。すなわち、平成28年度の予定と平成30年度の予定が入れ替わったのである。
昨年のイタリア調査については、9月におよそ2週間でヴェネト地方やエミリア・ロマーニャ地方の現地調査を実施した。これらの地方の主要な都市はすでに訪れたことがあるため、今回は公共の交通機関ではアクセスが難しいものを中心にレンタカーで訪れた。遺構は広範囲に点在しているために多くの移動時間を費やすことになったが、修復中で見学不可の建物はなかったため、ほぼ予定通りに実施することができた。また、現地の図書館や美術館における文献調査については、前述のセルリオの建築書の異なる版を比較しながら閲覧することができた。

Strategy for Future Research Activity

今年度は当初の計画どおり、16世紀のマドリードとその周辺の建築について調査を行う。研究対象となる建築は、ゴシック的な性格を備えた前半のプラテレスコ様式と、後半の本格的なルネサンス様式とに大きく分類できる。とくにスペイン王カルロス1世とフェリペ2世の建築については、すでにローマの盛期ルネサンスの影響も見られ、実際にイタリアから多くの芸術家も招聘されている。大規模で有名なものも多く、当然のことながらすでに多くの研究がされており、建築単体としての新たな知見を導き出すことは難しい。けれども、とりわけエル・エスコリアル修道院図書館には多くの建築書や図面類も残されていて、建築家や建築主を介した他の建築との関連性についてはまだ研究の余地が残されている。作業としてはマドリードの図書館を中心に文献史料の収集に励みながら、各地の遺構を調査する計画である。

Causes of Carryover

残額が225円と小額のため、次年度への繰越とした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

残額が225円と小額のため、今年度予算と合わせて物品(書籍)を購入予定。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Book (2 results)

  • [Presentation] ミケランジェロの建築に見る古代との闘い2016

    • Author(s)
      飛ヶ谷 潤一郎
    • Organizer
      ミケランジェロ展
    • Place of Presentation
      パナソニック汐留ミュージアム(東京)
    • Year and Date
      2016-08-05 – 2016-08-05
    • Invited
  • [Book] ジョルジョ・ヴァザーリ『美術家列伝』森田義之他4名監修 第4巻2016

    • Author(s)
      ジョルジョ・ヴァザーリ著、森田義之他4名監修、飛ヶ谷潤一郎他解題・翻訳(共訳)
    • Total Pages
      19-79, 89-100, 167-190
    • Publisher
      中央公論美術出版
  • [Book] 彫刻家ミケランジェロによる建築素描の表現とその変遷 『ミケランジェロ展』ピーナ・ラジョニエーリ他監修2016

    • Author(s)
      ピーナ・ラジョニエーリ他監修、飛ヶ谷 潤一郎
    • Total Pages
      26-35
    • Publisher
      パナソニック汐留ミュージアム

URL: 

Published: 2018-01-16  

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