2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on local structural distortion affecting ion diffusion in fuel cell-battery materials by neutron diffraction
Project/Area Number |
16K06784
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
井川 直樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (60354833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樹神 克明 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (10313115)
田口 富嗣 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員(定常) (50354832)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 局所乱れ / 燃料電池材料 / 中性子回折 / 結晶構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素伝導型燃料電池材料用の固体電解質について、局所的な構造乱れを解明するため、固体電解質材料・BaSn0.5In0.5O2.75を固相反応法によって合成し、中性子回折実験を実施した。得られたデータをリートベルト法にて平均構造を、また、中性子原子対相関関数解析(中性子PDF法)にて、局所構造を解析し、両者を比較することで局所的な構造の乱れを解析した。局所構造解析の結果、原子間距離・r>6Åの範囲内では、平均構造と同じ空間群・Pm-3mの立方晶構造であることが分かった。一方、r<6Åの原子間距離範囲では、立方晶よりも空間群P4/mmmの正方晶構造により良い一致をみた。中性子PDF法によって求めた原子変位パラメータ値・Ueqは、平均構造より求めたそれよりも比較的大きな値をとった。このことは、構成原子の結晶サイトにおける局所的な乱れを示唆している。これらUeqと、立方晶から正方晶へのずれを表す指標・正方晶化度は、rの増加に伴って緩和され、平均構造のそれへと近づき、rがおよそ20Åに達すると平均構造と一致することが明らかになった。一方、この材料について中性子回析/最大エントロピー法解析によって得られた原子核密度分布では、原子核密度レベル20 fm/Å^3における等核密度面上のBaおよびSn/In原子の核密度分布はほぼ球形であり、局所乱れの影響は見られない。これに対して、酸素のそれは{100}平面群上にて回転楕円体状に広がっているといった、酸素分布の局所的な乱れを反映した結果が得られた。
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