2017 Fiscal Year Research-status Report
メタンプルームの新規回収法開発のための疑似プルーム挙動解析
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16K06821
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
多島 秀男 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90456351)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ガスハイドレート / 気泡発生 / 気泡上昇 / ハイドレートスラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,表層型メタンハイドレートを念頭に,加圧水中でのハイドレート分解を低圧条件で模擬する実験装置の製作と模擬ガスでの水中での微細気泡群発生および移動挙動のデータ解析を目的としている。2年目は,海底下の環境により近づけるため加圧下における温度差条件による影響を回分操作により検討し,加熱法によるハイドレート堆積層の分解挙動と発生気泡による疑似プルームの観察および解析を行うことを目的とした。 ・モデルガスにはメタン置換体であるCHClF2を引き続き利用した。278K,0.2~0.3MPaの条件で疑似単一ガスによるハイドレート堆積層を形成させた。生成圧力を保持したまま286~313Kでこのハイドレート堆積層を分解し,分解時に発生する気泡群を解析した。 ・目視観察では堆積層とガラス製回収器の表面張力の違いにより気泡径と気泡形状の異なる気泡が発生することが分かった。気泡平均径と気泡径分布はより低温,高圧条件で小さくなることが確かめられた。 ・状態方程式と圧縮因子により気泡径を計算すると、実験温度は気泡径に影響を与えないがより高圧条件では気泡径が小さくなることが分かった。測定値の平均径と算出値は一致しないため堆積層を離れる際の表面張力が影響していると考えられる。気泡の上昇速度については大気圧、加圧下条件でNavier-Stokesの式による理論値とほぼ一致することが確認できた。 ・連続操作を達成するためのハイドレート生成回収試験についても継続して行い,溶解度や界面活性剤添加によるハイドレートスラリー形成挙動と物質移動特性について基礎的データを収集した。界面活性剤によりハイドレートスラリーを形成しやすく物質移動特性が向上することを明らかとした。 ・初年度の成果の一部であるスラリー分解挙動と伝熱挙動について,ハイドレート国際会議にて成果発表するとともに,近年の研究動向について情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・当初の2年目目標の一つは,擬似単一ガスでの低圧モデルによるハイドレート形成および模擬プルーム分解試験を行い,特に圧力一定条件下での温度差条件,流量条件等の発生微細気泡の水中上昇速度や上昇挙動への影響を評価することである。加圧下での回収器中のハイドレート堆積層近傍における気泡径分布や気泡挙動の解析方法について一定の結果を得たことから,これらはおおむね順調に進行している。観察部での模擬プルームの形成については依然として気泡の誘導や安定化に難航しており,装置の改善を試みている。 ・温度一定下での圧力差条件についても発生微細気泡の水中上昇速度や上昇挙動への影響を評価することを目標としていた。試行数はまだ少ないが,堆積層面での気泡径分布と上昇速度については試験的には成果を得ており,おおむね順調に進行している。引き続き検討を進める。 ・流量条件による影響を評価するまでには至らなかった。連続操作のための装置改良が難航しており,当初計画による連続的なハイドレートスラリー供給,微細気泡発生への操作条件の影響,さらには伝熱や溶解を踏まえた評価をするには至っていない。回分操作でのハイドレート回収分解実験による温度・圧力条件の気泡発生速度への影響やハイドレートスラリー生成回収に関する基礎的データ収集にとどまっているためである。 ・回分操作での評価が中心となっているが,当初計画において想定した再検討課題および想定された当初計画通りに進まない場合の対応方法に切り替えたためであり,総合的には想定内の進展状況と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目までの評価に基づいて,擬似単一モデルガスによる低圧モデルによるハイドレート形成および模擬プルーム分解試験を行う。特にハイドレート堆積層をあらかじめ形成させたのち,分解条件を変化させて微細気泡群を発生させる回分操作によって諸検討を行うこととする。 ・これまでの設定条件よりもさらに圧力および温度をハイドレート平衡条件に近づけることにより発生微細気泡群の水中上昇速度や上昇挙動への影響を評価する。圧力差や温度差をさらに大きく取るために,減圧下での分解による微細気泡発生と諸検討の可能性についても検討し,現状装置で実施可能と判断できれば,検討を加える。 ・装置全体の温度および圧力条件を一定に制御して,水を流動させることによって周囲流体の流量条件の影響を評価する。はじめはハイドレート堆積層生成条件となる単一モデルガス飽和水で検討する。一定の成果が得られれば,不飽和水との入れ替えによるガス溶解の影響を考慮した微細気泡発生に関する諸検討を行う。 ・これらの成果が得られれば,当初予定していた混合ガスによる発生微細気泡の水中上昇速度や気泡上昇挙動への影響を評価することを試みる。 ・引き続き連続操作のための装置改良を試みる。
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