2017 Fiscal Year Research-status Report
急速加熱時における耐熱CFRPの局所面外変形を伴う内部損傷の発生機構解明
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16K06891
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小柳 潤 東京理科大学, 基礎工学部材料工学科, 准教授 (60386604)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱防御材 / CFRP / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
人類の宇宙開発において,大気圏再突入の耐熱材料に関する技術は必須である.例えば地球で言えば,地球の引力から脱出するために第2宇宙速度以上のスピードを有する必要があり,単純にそのスピードで地球に帰ってきたとして,秒速11kmを超える物体が静止するまでに極めて大きな熱エネルギーが発生してしまうためである.本研究では,大気圏再突入のような急速加熱環境に耐える耐熱CFRPの熱特性を評価すべく,マルチフィジックス数値シミュレーションを実施している.本年度は軸対称耐熱CFRP数理モデルを確立し,内部ガス圧の上昇を数値シミュレーションにて予測し,実験結果と比較した.表面から入る熱が耐熱CFRPの化学反応によってエネルギーを消費しつつ,固体が気体に変化することにより内部の圧力が高まって,耐熱CFRPに致命的な損傷を発生される数値シミュレーションのモデルを確立した.内部ガス圧は最大で10MPa程度まで上がることが明らかとなり,実験事実であるCFRPの層間はく離が起こるメカニズムを説明することができた.一方で,耐熱CFRPに成形時から気泡を意図的に導入することにより,内部ガス圧の上昇を効果的に抑えることができることが数値シミュレーション上明らかとなり,このことも実験結果と一致した.耐熱CFRP内部にわずか5%の気泡を導入することで,気化反応による内部ガス圧上昇を大幅に抑えることができることを明らかにし,内部損傷が発生しない耐熱CFRPの設計指針に一助を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在おおむね計画通りに研究は進展している.気泡を有する耐熱CFRPの急速加熱環境における実験と解析を比較しており,内部損傷発生のメカニズムを明らかにできた.実際の耐熱CFRPの使用時には,この内部損傷を避けるべく,CFRPの積層方向を斜めにしている.次年度は斜め積層のCFRPに対して内部ガス圧を計算するプログラムを作成して,実験と比較することで本研究は完了する.以上のように,本研究は概ね計画通り進捗していると考えて差し支えない.
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Strategy for Future Research Activity |
29年度までに基本的なパターンの数理モデルが構築された.30年度(最終年度)は実際に耐熱CFRPが用いられる状況である,CFRPの積層方向が加熱面と一致しない斜め積層の場合の数値解析を達成する.これを達成するには,解析モデルを軸対称から3次元に変更する必要があり,コンピューティングに大きな負荷がかかる.30年度はこれに注力し,実際使用されている斜め積層の健全性の評価,ならびに,より良い積層方向の提案を行う.また成果を学会で発表し,論文にまとめて投稿する.
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Causes of Carryover |
最後に残った少額を使い切ることができなかった.次年度の物品費として使用予定である.
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