2018 Fiscal Year Annual Research Report
Nano-scale study on mechanisms of low-salinity enhanced oil recovery toward high-efficiency production design
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16K06925
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
Liang Yunfeng 東京大学, 人工物工学研究センター, 特任准教授 (70565522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 俊文 公益財団法人深田地質研究所, その他部局等, 主席研究員 (10303851)
村田 澄彦 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30273478)
増田 昌敬 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (50190369)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 石油増進回収法 / 低濃度塩水 / ナノスケール / 分子動力学 / X-Ray CTR / 界面の吸着構造 / 資源開発 / 界面化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、低濃度塩水を用いた石油増進回収法(EOR)における油回収率の向上メカニズムを、分子レベルから明らかにすることを目的とする。本年度の業績は:(1)X-CTR実験データの解釈の改善。 (2)圧入流体がMg2+二価カチオンを含む場合のメカニズムの理解。 (3)接触角をナノスケールで測定するため、AFMシステムを改良する。3年間の全体的な成果は次のとおりです。 研究項目(A)「X線CTR散乱法の実験と解析」では、鉱物表面に分布しているイオンが変化したときの油分子と鉱物の相互作用を観察するCTR実験を行った。その結果、油と鉱物界面の間の水の薄膜を識別し、原子スケール構造と水の厚さを得ることが出来た。 さらに、NaCl溶液がCaCl2およびMgCl2溶液に変化したときの水層の構造変化を明確に識別することが出来た。 研究項目(B)「分子動力学(MD)シミュレーションによる検討」では,陽イオン交換された鉱物表面と酸性油分子を含む水溶液の界面系を設定し,その系に対してMDシミュレーションを実施した。Na+、K+、Mg2+、Ca2+など、カチオンが異なる系の吸着自由エネルギーを計算した結果,酸性油に対しては,地層水が高pH状態であれば,水中のCa2+が粘土鉱物に吸着することで,油の吸着を大幅に促進して油回収率を下げる要因となることがわかった。一方、方解石表面に関しては、反対の現象が見いだされた。すなわち、Na+のような一価イオンがより重要である事が解った。さらに、低pH条件では、酸性油分子は方解石表面に強く吸着することが分かった。 研究項目(C) 「岩石鉱物表面における油の接触角の測定」では、白雲母表面に置いた油滴と表面の接触角が陽イオンの存在によって大きく変わることがわかった。 上記3つの取り組みを統合し、低濃度塩水EORのメカニズムに対して、新たな作業仮説の理論を提供することが出来た。
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