2016 Fiscal Year Research-status Report
周辺プラズマ計測による高周波電磁解析におけるプラズマ物理モデル研究
Project/Area Number |
16K06944
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
笠原 寛史 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50435517)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 揺動伝搬 / 熱プラズマ / 周辺部 / プラズマ分散関数 / 高調波効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
核融合炉の実現には初期プラズマ点火に必要なプラズマ加熱手法の確立が必要不可欠であり、様々なプラズマ加熱手法が研究されており、イオンサイクロトロン周波数帯の電磁波を用いたプラズマ加熱(ICH)は燃焼プラズマ実験においてプラズマ点火が実証されている。ICHの商業核融合炉への適用にはメンテナンスを含めた電磁波放射アンテナの設計が不可欠であり、プラズマ周辺部の高精度な密度分布情報などが必要となる。 本研究の目標である周辺プラズマのモデル化を行うために、周辺プラズマの局所計測および高周波揺動伝搬を含む電磁波伝搬計算を行う必要がある。周辺プラズマは温度が低いため冷たいプラズマモデルで代用されているが、プラズマ中心部で励起された電磁波による周辺プラズマへの影響を考慮するために、熱プラズマを含めたプラズマモデルコードの作成を始めた。 プラズマ中央で励起された電磁波の周辺部への伝搬に関する精度を高めるために、高品質な誘電率テンソルを作成した。熱プラズマの誘電率テンソルで計算に大きな影響を与える要素として、プラズマ分散関数と電磁波の高調波成分の重ね合わせ効果がある。プラズマ分散関数としては数値計算としての計算誤差が1e-15以下になるようにプラズマ分散関数を最適化した。計算資源・計算時間のことを踏まえ、熱プラズマ中での電磁波の高調波成分による影響を調べるために、随時イオンサイクロトロン周波数帯(ICRF)の正負高次の高調波項を追加して波動伝搬への影響を調べたところ、中型トカマク磁場によるプラズマ閉じ込め装置(中心電子密度2e19、中心電子・イオン温度3keV程度)における波動伝搬において、正負5次程度までの項を考慮すればICRFの電磁波の伝搬に関しては十分な精度があることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画としては初年度の周辺部プラズマの局所計測用プローブを製作し、計測そ先行して実施し、その後周辺部プラズマモデル作成を行う予定だった。高温プラズマではプラズマ中心部から伝搬してくる電磁波の影響で周辺プラズマへも影響を及ぼすことが実験的に観測され始めているため、その効果も含めて計測を行うようにしたらどうかとう海外からの共同研究者の助言を受け、実験計画に修正を行った。そのため周辺プラズマの直接計測を初年度に行う計画だったが、高温プラズマ中での電磁波の電波を正しく評価する電磁波伝搬コードの開発を先行して実施した。 電磁波の電波を精度よく計算するためには、誘電率計算を高精度ので行うことが必要となり、そのため熱プラズマの誘電率計算を短時間で精度よく行うための計算コード開発を行った。この開発で重要となるはプラズマ分散関数の計算誤差精度と、高調波による誘電率修正効果で、通常計算を簡易化するために2~3次程度まで行っているが、様々な次数まで計算して比較したところ5次程度までで十分であることが分かった。特にICRF帯の電磁波はプラズマ中でモード変換する場合もあるため、その条件が揃う雨かどうかについても検討を進めた。そのため若干全体としては当初予定していたより計画が遅れているが、より高精度の電磁波計測を実現するために、事前に熱プラズマのモデル計算を行い、プローブ設計にフィードバックすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度はプローブ製作を計画している。他の高温プラズマ実験装置で観測された揺動がプラズマ周辺部まで伝搬する可能性を考慮し、プラズマ中心部で励起されたプラズマ揺動の伝搬を周辺部で計測が可能とするように高感度のプローブ設計を行う。プローブは高周波プローブ・静電プローブ・光揺動計測の3種類を同時に行うことを計画している。 高周波プローブを設計するにあたり、3次元電磁解析ソフト利用して高周波揺動の計測感度の向上を目指した最適化を行う。周波数特性の良い高周波プローブは、今までの高周波計測の経験ではシングルループプローブが周波数特性に癖のない非常に広帯域のプローブであったが、高感度化には向かないためマルチループによってその改善が実施できるか検討を進める。結論として周波数特性が悪い場合は、計測する周波数領域を複数に分けてマルチターンループプローブに設計変更する可能性がある。 当初予定していた位置より内部にプローブを挿入する必要があるが、予算的にレシプロカルプローブのような高速挿印機構を導入することが難しいため、熱解析により最適化を進め、閉じ込めプラズマの領域に近い位置までプローブを近づけられないか検討する。予算規模や簡便性・高集積化を意図して定常的な除熱機構をもたないコンパクトなプローブ設計であるが、微小信号をできるだけ正確に捕捉するために熱耐性を高めるための材料剪定検査も実施する。そのため静電プローブのプローブピンは当初予定していたモリブデンではなくタングステンに変更することも検討する。 光計測に関してはグロー放電などを実施されると、窓がすぐに汚れてしまい計測感度が劣化するため、通常計測部を内部に入れないという話もあるため、プラズマ実験で使用したファイバーの先端等の汚れについて評価し、対策について検討が必要となる。そのため、受光部を含めた光計測部の容器外への持ち出しも検討する。
|
Causes of Carryover |
研究計画の順番が変更され、当初予定していたプローブ製作が次年度になり、プラズマモデルの計算のフレームワーク作成が本年度になった。プラズマモデルのフレームワークに関しては研究所の既存のシステムを活用しているため予算的には使用は少なかったが、来年度は予算実施規模の大きいプローブ作成を行う。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画で予定したプローブ製作を本年度に移したため、プローブ製作用費用が大幅に本年度に変更されている。プローブ作成には電磁解析により作成したプローブ設計案と実際にプローブサンプルを作成して感度を調べるため、そのために必要なR&D費および、プラズマ真空容器に挿入させるためのガイド管や真空フランジ等が必要なため、プローブシステムとしは非常に高額になる。
|
Research Products
(1 results)