2016 Fiscal Year Research-status Report
原子炉設計拡張状態の予測不確かさ定量化:誤差相関を用いた新たな評価手法の開発
Project/Area Number |
16K06956
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 章夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50362265)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 豪 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50421524)
ろーいえん ふれーどりっく 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 准教授 (30569017)
遠藤 知弘 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50377876)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 炉心解析 / 計算モデル / 計算誤差 / 炉心特性 / 相関 / クリギング法 / ガウスプロセスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原子炉の設計基準事故を超える設計拡張状態(Design Extension Condition, DEC)におけるシミュレーションの不確かさを誤差相関およびランダムサンプリング法を用いて定量化する新たな評価手法を開発することである。本研究の成果により、DECシミュレーションにおける不確かさを定量評価するための基盤を確立することが可能になり、原子力安全の確保に不可欠な数値シミュレーションの信頼性を抜本的に向上させることが可能となる。H28年度は、①理論構築及び②核特性シミュレーション計算誤差の相関検討を行った。 ①理論構築については、計画時に想定していたベイズ推定による方法ではなく、クリギング法に基づき、計算誤差の推定を行う手法について検討を行った。クリギング法は、主として地球科学などの分野で用いられているガウスプロセスモデルの一手法であり、測定したパラメータが不確かさを含む(Gaussian Processに従う)と仮定することで、推定したパラメータの不確かさも評価できる特徴を持つ。本年度は、クリギング法を核特性シミュレーションに適用するための理論的検討を実施した。 ②核特性シミュレーション計算誤差の相関検討については、現行の軽水炉解析に用いられている集合体(燃料棒)解析において、計算誤差(best estimate手法と考えられる連続エネルギーモンテカルロコードと、多群の決定論的手法との差異と定義)と断面積、中性子束、スペクトルインデックスなどの核特性パラメータとの相関を網羅的に評価した。その結果、計算誤差との相関が高いパラメータを用いてクリギング法により計算誤差を推定するモデルを作成し、モンテカルロ法の統計誤差と同等の精度で計算誤差を評価できることを確認した。 以上のことから、H28年度の計画については、全て達成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H28年度の計画では、計算誤差と相関のあるパラメータの探索を行う予定としていたが、実際には、探索のみならず、相関の高いパラメータを用いて、計算誤差を推定するための代理モデルをクリギング法により作成した。これは、H29年度に実施を計画している部分であることから、計画以上に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
①理論構築については、H28年度において、H29年度の計画を前倒しにして実施しており、(1)計算誤差の予測に用いるモデルの構築、(2)計算値の補正方法の方向性について、基本的な目処が付いたものと考えている。本研究で採用しているクリギング法は、地球科学分野で適用されてきたものであり、独立変数として用いるパラメータが等方である(同等の特性を持つ)ことが基本となっている。しかしながら、本研究で用いる核特性パラメータは、値のオーダーも、目的変数(今回の研究では計算誤差)に対する感度もパラメータ毎に大きく異なる。従って、クリギング法において、独立変数をどのように扱うかが大きな問題となる。H28年度の成果として、独立変数の値のオーダーを合わせるスケーリングを行うことでクリギング法の推定精度が向上することを確認したが、より複雑な条件での推定精度の確認を行う必要があり、H29年度に引き続き検討を実施する。 ②計算誤差の相関検討については、H28年度の成果により、ほぼ目処が付いたことから、③核特性シミュレーションの不確かさ定量化に取り組む。H28年度は、単純な燃料セル体系に対して、作成したモデルの適用性を確認したが、H29年度はDECに相当する条件を含むより複雑な条件において、また、幾何形状が変化したときの適用性についても確認を進める。
|
Causes of Carryover |
主として、海外渡航旅費の所要額が少なかったことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度に海外渡航旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(6 results)