2017 Fiscal Year Research-status Report
低コスト高効率ポータブル型ダリウス水車の営農用傾斜水路への適用と設置指針の確立
Project/Area Number |
16K06980
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
松下 大介 九州産業大学, 理工学部, 准教授 (60284535)
|
Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 小水力発電 / 営農用小水路 / ダリウス水車 |
Outline of Annual Research Achievements |
営農用小水路向けの水力発電システムの開発により,独立電源地域への普及の一助とすることを目的としている.今年度は水車設置方法の見直しおよび新型発電機開発による水車性能の向上と低コスト化を進めた. ポータブル型ダリウス水車は,傾斜小水路に工事を伴わずに簡単に設置できるクロスフロー水車であり,水車上流部で高効率となる特徴がある.本課題では傾斜水路における浅水流での運用を想定しており,水車上流部のみ水面下にあれば生成トルクの低減よりも,上流部以外で生じる抗力の低減効果の方が大きいため水車総合効率が向上することが分かった.また,発電機の部品を3Dプリンタ利用の簡易構造とすることで設計変更を容易にし,コアレス発電機の極数と線径の最適化を進めた結果,水車とのマッチングの悪い市販発電機と比べて発電量が大幅に向上する結果となった. さらに安定運転のための負荷制御システムを構築し,低コスト化のための翼加工法の改良を進め,独立電源地域の営農用小電力目的の水車システムの確立を進めた.アプリケーションとしては流量10L/s以下を想定した,LED防犯灯,獣害用電気柵への給電,省電力機器用電源,携帯電話充電,バッテリー充電などを想定しており,水車のタンデム化を含めて概ね必要電力を供給できる目途が立ったと言える.また代表的な営農用小水路である水田傍に敷設された傾斜小水路に設置し,水路を溢水しない運転状態において必要電力を取り出す様な設置形態を指針として示している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水車構成部品の改良に伴い発電量の大幅増加,低コスト化への指針が得られた.また傾斜小水路浅水流における設置形態は,下流堰を設けず水車上流部でのみランナが仕事をし,その後は作動流体である水をランナ外へ排出する構造とすることで発電量を増加させるという設置指針が得られた.また水車周りの流れ場計測により,水車上流流れが均一流とはならず,ランナ回転の影響を受けることが分かり,案内羽根を用いることによる性能向上が見込めることが分かった. 研究成果については国内講演会で発表し,次年度に国際会議での発表の上,論文化を進めるめどが立ったため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究進展で,さらに水車性能を向上させる方策が複数挙がったため,これらを取り込んで高性能化を進める計画である.またメンテナンスコスト低減を含めた低コスト化を進める.現在までに学会発表や展示会発表において行政や産業関係者から,このような極小出力の水車における有効なアプリケーションの相談や提示があったため,これらへの適用も考慮し,制御・耐久性を含めた利用方法の確立を目指す.
|
Causes of Carryover |
(理由)年度末における水車新構造の立案により,次年度の消耗品が必要と判断したため. (使用計画)未使用となった助成金は,主に次年度の物品購入費に充てる計画である.
|
Research Products
(7 results)