2017 Fiscal Year Research-status Report
PTPδを介したSema3A情報伝達と樹状突起発達制御
Project/Area Number |
16K07062
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中村 史雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10262023)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Sema3A / PTPRD / PTP delta / Fyn / dendrite / SIRP alpha |
Outline of Annual Research Achievements |
Sema3A情報伝達においてPTPδが樹状突起形成に関わることを示した論文が、Journal of Neuroscienceに受理され、2017年7月に掲載された。以下に論文のタイトルと要旨を示す。 Nakamura F, et al. Nakamura F et al. Protein Tyrosine Phosphatase Mediates the Sema3A-Induced Cortical Basal Dendritic Arborization through the Activation of Fyn Tyrosine Kinase. J Neurosci 37(30):7125-7139 (2017) Sema3Aは大脳皮質・錐体細胞の樹状突起発達を促進する。しかし受容体(NRP11/PlexA)以降の分子機構は不明の点が多い。この機構において受容体型チロシンホスファターゼPTPδが関与すること、PTPδはチロシンキナーゼFynのC末端を脱リン酸化して、Fynのキナーゼ領域を活性化することを見いだした。Sema3A,PTPδ, Fynのノックアウトマウス脳皮質において樹状突起形成が低下すること、これらの遺伝子間に相互作用が存在することから、Sema3A→NRP1/PlexA→PTPδ→Fynの情報伝達経路が存在することが明らかになった。また線虫においてもPTPδに類似するPTP-3がSema2Aで制御される神経回路形成に関わることを明らかにした。これらのPTPδ/PTP-3にとるセマフォリン情報伝達は種を越えて広く保存されていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究概要に記した掲載論文を完成させたこと、新しい職場における教育業務の増加のため、研究実施はやや遅れているが、以下の解析を行った。 1)SIRPα及びリン酸化の組織分布 SIRPα及びリン酸化部位Y501に対する特異抗体を用いて野生型、PTPδノックアウトマウス脳の免疫染色を行った。SIRPαは脳の様々な領域に発現し、特定の傾向が認められなかった。一方、リン酸化SIRPαの染色は限局しており、嗅球、Rostral Migratiory Stream(RMS)、錐体路に強い染色が認められた。これらのリン酸化はホモ体で強い傾向にあった。 2)SIRPαリン酸化変異体によるSema3A退縮応答の変化 SIRPαリン酸化部位(Y501)をPheに置換した変異体を作成し、Sema3A応答に対する抑制効果を検討した。Y501F変異体はSema3Aの退縮応答を部分的に抑制した。しかしまだ例数が少なく、確定した結果ではない。今後例数を追加する。 3)PTPδノックアウト脳の表現型解析 1)の実験と並行して野生型、ノックアウトマウス脳のシナプスマーカー等による免疫染色を行い、小脳における線維走行に異常を見いだしている。この表現型についてSema3Aとの相互作用の有無を現在検討している。Sema3A-PTPδの経路が樹状突起だけでなく軸索の投射に関与する可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)SIRPαのリン酸化検討 脳組織染色から見いだされたリン酸化SIRPαの多い領域について、Sema3AやPTPδとの共局在を検討する。 2)Sema3A情報伝達とSIRPα SIRPαのY501F変異体がSema3A情報伝達を阻害すると考えられることから、このリン酸化のSema3A刺激に伴う変化を初代培養神経で検討する。さらにY501F変異体が皮質樹状突起形成にも影響を与えるかどうかを検討する。 3)小脳表現型の解析 昨年度新たに見いだしたPTPδノックアウトマウスの小脳表現型について検討を進める。 4)リン酸化可視化プローブの検討 リン酸化プローブを初代培養神経(DRG等)に導入し、Sema3A刺激に伴う変化を検討する。
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Causes of Carryover |
蛍光可視化プローブの作成及び導入が遅れている。プローブ作成及びそれを用いた実験を促進させる。また新たに小脳で見いだした表現型の解析を進める。
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[Journal Article] Probing the lithium-response pathway in hiPSCs implicates the phosphoregulatory set-point for a cytoskeletal modulator in bipolar pathogenesis2017
Author(s)
Tobe BTD, Crain AM, Winquist AM, Calabrese B, Makihara H, Zhao WN, Lalonde J, Nakamura H, Konopaske G, Sidor M, Pernia CD, Yamashita N, Wada M, Inoue Y, Nakamura F (15番目/51名)他
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 114
Pages: E4462~E4471
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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