2017 Fiscal Year Research-status Report
炎症抑制エフェクター欠損株を利用した細菌感染病態の解析
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16K07083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真田 貴人 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (00569957)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 赤痢菌 / 病原細菌 / 3型分泌機構 / NF-kB / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに炎症抑制エフェクターOspI の欠損株赤痢菌を用いて、赤痢菌感染動物感染モデル (マウス直腸感染モデル、モルモット直腸感染モデル、マウスパイエル板感染モデル) を行った。赤痢菌感染後の組織内赤痢菌生菌数を経時的に調べる事によって、宿主への侵入、定着、最終的に宿主による排除に至る経過を全体的な把握を試みた。同時に、赤痢菌感染組織における赤痢菌の分布を、蛍光免疫染色法によって調べ、赤痢菌がどのような組織から侵入し、定着に至るのかについて、経時的に調べた。3つの感染モデルについてヒトの赤痢菌感染病態との比較を行うことによって、それぞれの感染モデルのメリット、デメリットを評価した。初年度の結果から、野生型赤痢菌が、発現量を抑制している炎症性サイトカイン、ケモカイン群、細胞表面発現タンパク質群の候補を絞ると同時に、野生型赤痢菌が侵入、定着の際に抑制する標的免疫担当細胞を推定し、その抑制機序について詳細に解析した。さらに、腸管上皮細胞と免疫細胞の共培養実験を試行し、個体レベルで認められる炎症性サイトカイン、ケモカイン群、細胞表面発現タンパク質群の発現量の変化について調べ、野生型赤痢菌と炎症抑制エフェクター欠損赤痢菌を比較した。その結果、赤痢菌感染動物モデルと共培養実験との間で、相関する結果をえた。さらに、個体レベルで認められる炎症性サイトカイン、ケモカイン群において、炎症抑制エフェクターOspI の欠損株赤痢菌に特徴的な発現パターンを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通り、免疫抑制エフェクター欠損赤痢菌を用いて野生型と比較することで、赤痢菌の定着の際に抑制する標的免疫担当細胞を絞り込むことができた。さらに、赤痢菌が感染した上皮細胞と免疫担当細胞を共培養をすることによって、免疫担当細胞による赤痢菌排除機構について新たな知見を得たから。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに、赤痢菌排除機構に関与する細胞集団を見出した。本年度は、その細胞集団が、どのような仕組みによって赤痢菌を排除するか詳細に検討する。具体的には、中和抗体処理、薬剤処理によって、細胞種 を欠損あるいは阻害したマウスを用いると同時に共培養系を用いて、排除機構を分子レベルで明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
昨年の繰越がありました関係で、最終的に次年度使用額が生じました。
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