2016 Fiscal Year Research-status Report
エクソソーム分泌を制御する因子の同定とその治療応用
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16K07189
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
吉岡 祐亮 (吉岡祐亮) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (60721503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | microRNA / Exosome / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はエクソソームの分泌を抑制するmicroRNA(miRNA)の探索を目的とし、およそ2000種類のmiRNA mimicが搭載されたmiRNAライブラリと以前、開発したエクソソーム測定技術を用いたスクリーニングを行った。スクリーニングには乳がん細胞株MDA-MB-231LNと前立腺がん細胞株PC3MLを用いて培養上清中に存在する、エクソソームマーカーCD9もしくはCD63が陽性のエクソソーム量を測定した。さらに細胞増殖能についてもMTS法により測定を行い、細胞増殖への影響は少ないが、エクソソームの分泌量を低下させるmiRNAを候補とした。その結果、複数の候補miRNAが選定された。これら候補miRNAについて、miRNA mimicを用いて、候補miRNAを過剰発現させた後、培養上清を回収し、超遠心法にてエクソソームを回収した。回収したエクソソームの粒子数をNanoSight tracking systemで解析し、miR-194がエクソソームの分泌抑制に働いていることを明らかにした。miR-194は複数の報告でがん抑制的に働くことが示されており、がん細胞において発現が低下することでエクソソーム分泌を促進し、がん悪性化に働いている可能性が示唆された。以上の結果は、大規模なmiRNAの機能的スクリーニングと研究代表者が以前開発したエクソソーム測定技術を組み合わせることで、エクソソームの分泌を制御するmiRNAの存在を示し、エクソソーム分泌の新たなメカニズムを明らかにした。また、これら研究成果は新規がん悪性化メカニズムの解明に繋がると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画通り、エクソソームの分泌を抑制するmiRNAを同定することができた。最終的には1種類のmiRNAに着目することとなり、当初予定していた数とは少なくなったが順調に研究は進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、同定したmiRNAの標的遺伝子を明らかにし、さらに詳細なエクソソーム分泌経路の解明を行う。また、同定したmiRNAの発現および標的遺伝子の発現をがん細胞と非がん細胞で比較して、がん細胞特異的なエクソソーム分泌経路でありうるかも検討する。
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