2017 Fiscal Year Research-status Report
Identification of exosome secretion-suppressive miRNAs and its target genes.
Project/Area Number |
16K07189
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
吉岡 祐亮 (吉岡祐亮) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (60721503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エクソソーム / 細胞外小胞 / 治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に同定したエクソソーム分泌を抑制するmiRNA、miR-194の標的遺伝子の探索を行った。エクソソーム分泌を抑制するmiRNAを乳がん細胞株および前立腺がん細胞株に導入後、RNAを抽出し、mRNAのマイクロアレイを行い、発現が変動する遺伝子を網羅的に解析した。また、miRNAをがん細胞へ導入後、発現が抑制された遺伝子のうち、in silicoデータベースでmiR-194の結合部位が3'UTRに存在するかも調べた。これら結果から6種類の候補標的遺伝子を挙げ、それぞれの遺伝子に対するsiRNAを使用して、乳がん細胞と前立腺がん細胞におけるエクソソームの分泌抑制効果を検証した。その結果、エクソソームの分泌を抑制した遺伝子としてNAPGに着目した。NAPGがmiR-194の標的遺伝子であるか、3'UTRアッセイによる検証および遺伝子の発現抑制効果を解析した。その結果、NAPGがmiR-194の標的遺伝子であることを明らかにした。さらに乳がん細胞株、乳腺上皮細胞株、前立腺がん細胞株、前立腺上皮細胞株におけるNAPGの発現を解析した結果、がん細胞株でNAPGの発現が亢進していた。また、Oncomineデータベースを用いて腫瘍組織でのNAPGの発現を解析した結果、乳がん、前立腺がんのみならず、各種腫瘍組織で発現が亢進していることが明らかとなった。 以上の結果から、miR-194によるエクソソーム分泌抑制効果の一部は標的遺伝子NAPGが担い、がん細胞でのエクソソーム分泌亢進に寄与している可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画通り、エクソソーム分泌を抑制するmiRNAの標的遺伝子を同定し、エクソソームの分泌メカニズム解明に近づいたため、概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、同定した標的遺伝子の分泌抑制効果が、がんの転移などのがん悪性化メカニズムに寄与するかどうかを検証する。さらにエクソソームの分泌メカニズムを明らかにするため、同定された遺伝子が細胞内のどのような場所でエクソソーム産生に関与するか解析する。例えば、siRNAを導入した細胞に対し、LysoTrackerなどを使用してライソゾームとCD63などのエクソソームマーカーを共染色し、その局在を観察する。その結果、CD63が陽性部位はエクソソーム前駆体が存在するところとして、ライソゾームに蓄積していたら、本研究で同定したESR-Geneはライソゾームでエクソソーム産生もしくは分泌に関与する遺伝子と考えられる。また同様にエンドソームマーカーとの共染色も行い、新規エクソソーム分泌メカニズムを解明する。
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