2017 Fiscal Year Research-status Report
複製ストレスチェックポイント制御に関わるRBファミリーの新規分子機能
Project/Area Number |
16K07250
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
内田 千晴 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (60223567)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNA複製ストレス / 細胞周期 / RBファミリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「DNA複製ストレスチェックポイント制御に関わるRBファミリーの新規分子機能」の解明を目指している。申請者らは、準備研究期間で得たp130RB2とDNA複製ストレス応答因子の相互作用等の結果から、「p130RB2はDNA複製ストレス応答に関与し、ゲノム恒常性の維持に機能する」と考え、これを検証し、RBファミリー(p130RB2)による複製ストレスチェックポイント制御の分子機構を明らかにすることを目的としている。
平成29年度は、主に以下のような進展がみられた。 平成28年度の実験結果では、U2OS細胞を2 mM Hydroxyurea処理しDNA複製ストレスを与えた条件において、p130RB2ノックダウンにより、DNA複製ストレス初期と持続期の応答に対して異なる影響がみられた。そこで、平成29年度はDNA複製ストレス初期の応答に着目した。p130RB2ノックダウン条件下では、DNA複製ストレス初期に活性化されるべき複数の応答因子のリン酸化レベルが減少する、すなわち活性化が抑制されることが分かった。これら複数の応答因子の一つは、p130RB2の免疫沈降実験において共沈降した。そこで、この因子とp130RB2の細胞内局在を蛍光免疫染色法で調べたところ、複製ストレス応答初期においてp130RB2と共局在することが示された。さらに、p130RB2のノックダウンは、DNA複製ストレス後の細胞増殖を抑制することが分かった。 今年度は上記のp130RB2結合能を有する複製ストレス応答因子に絞り、翻訳後修飾・細胞内局在の変化、さらにRBファミリーの活性欠損による複製ストレス初期応答の変動を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p130RB2ノックダウンは複製ストレス初期と持続期の応答に対して異なる影響を及ぼすこと、p130RB2と結合する複製ストレス応答因子への影響が明らかになりつつあることから、研究計画は概ね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は上記でしぼられたDNA複製ストレス応答因子とp130RB2結合タンパク質との相互作用、異なったストレスやDNA損傷誘導時における共局在の変化、DNA損傷応答因子との相互作用、細胞生存/死への影響、他のRBファミリー欠損との比較、等について解析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由)ストレス応答性の再現性を重視するため、ヒト培養細胞系の実験に集中し、ノックアウトマウスを用いる実験を延期したため。
(計画)p130RB2と結合することが明らかな複数のタンパク質、DNA複製ストレス応答因子、DNA損傷応答因子の抗体のロットチェックを行い、特異的に検出できる抗体を揃える。蛍光免疫染色に適する抗体、試薬を揃える。ノックアウト細胞株の樹立を進める。これらに必要な試薬、キット類の購入に充てる。
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