2016 Fiscal Year Research-status Report
COPII因子による小胞輸送を支える時空間制御機構の解明
Project/Area Number |
16K07340
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 健 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00303602)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 小胞輸送 / 低分子量GTPase / 小胞体 / COPII |
Outline of Annual Research Achievements |
真核細胞内で行われる小胞輸送において、小胞体(ER)からの輸送小胞(COPII小胞)の形成は、小胞体出口部位(ER exit sites)と呼ばれるサブコンパートメントで行われており、このER exit sitesが受ける高度な制御によって輸送反応が時空間的に制御されていると考えられている。このER exit sitesの形成メカニズム、および輸送反応の時空間制御のメカニズムについて解析を行った。平成28年度は、COPII小胞形成因子のリン酸化・脱リン酸化による制御に着目し、脱リン酸化酵素の単独欠損ライブラリーを用いて、小胞体からの輸送異常、およびER exit sitesの形成異常を指標としてスクリーニングを行ったところ、有意な因子を同定することができなかった。しかし、出芽酵母が持つ32種の脱リン酸化酵素と、COPII小胞形成因子群との相互作用について、酵母two-hybrid法により解析を行ったところ、2種類の脱リン酸化酵素がCOPIIコートを構成する特定のサブユニットと相互作用する可能性が示唆された。 また、ER exit sitesの形成に深く関与することが示唆されている足場タンパク質Sec16について、顕微鏡下に形成させた人工脂質平面膜上に再現したCOPII小胞形成反応における動態を検出するため、種々の蛍光標識法の検討を行い、挙動の可視化が可能な蛍光標識Sec16を得ることができた。また、このSec16と各COPII小胞形成因子とを別々の色素で染め分けて検出するための材料の調製、および検出条件の検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において設定した今年度に達成すべき項目について、ほぼ全てについて着手し、目的の制御因子の候補となる因子を同定することができ、次年度の研究計画につながる成果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に同定した相互作用因子の機能解析、および制御メカニズムの解析を詳細に行うとともに、足場タンパク質Sec16のCOPII小胞形成過程における挙動を、人工脂質平面膜上で検出して解析を行う。
|
Causes of Carryover |
初年度において、制御因子の同定に予想外に多くの時間を費やすこととなり、より多くの消耗品を必要とする足場タンパク質Sec16の解析に費やした時間が相対的に少なくなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度に引き続き、小胞体からの小胞輸送を時空間的に制御する分子基盤の解析に伴い、分子生物学試薬、微生物培養試薬、生化学試薬、プラスチック製品などの消耗品の購入を行う。また、研究補助者の人件費、成果発表のための旅費、および研究成果の論文発表のための費用についても計上する
|