2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07425
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大瀧 丈二 琉球大学, 理学部, 准教授 (70360211)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | チョウ / 翅組織 / 色模様形成 / リアルタイムイメージング / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発生途中のチョウの翅を可視化することで色模様形成メカニズムを解明することが目的である。平成30年度はヤマトシジミの翅発生のイメージングについて、かなりの成功を修めることができた。蛹の翅全体の動きを蛹化から羽化まで全過程において記録できたばかりでなく、Hoechst(核染色)、MitoRed(ミトコンドリア染色)、BODIPY-Ceramide(ゴルジ染色)、LysoTracker(リソソーム染色)、CFSE(細胞質染色)などの蛍光試薬による染色が成功し、生きた翅細胞の形態やその変化を追うことが可能となった。カルシウムイメージングについては、Fluo-8およびCalbryteを用いたところ、シグナルの検出に成功したと思われるが、予想よりも弱いシグナルであったため、さらなる検証が必要である。 翅全体のイメージングについてはヤマトシジミを含めて多種で行うことに成功し、チョウにおける翅形成・色模様形成の一般論を展開することができた。一方、アオタテハモドキを用いた損傷実験により、色模様形成が長距離シグナルにもどついて行われることを見出した。さらに、翅組織がさまざまな材質の物体に接触した場合、その材質の性質によって色模様が変化することが確定的となった。これは細胞外マトリクスが色模様形成に重要な役割を果たしていることを示している。鱗粉レベルでの詳細な観察も行い、チョウの眼状紋の形成を古典的な濃度勾配モデルで説明することが難しいことを示した。 他方、抗体透過実験については、既存の方法で一度だけ偶然に成功したものの、再現性が得られなかった。今後は膜透過性ペプチドを用いた抗体透過実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗体透過実験では計画よりも遅れているとはいえ、順調に試行錯誤しているという意味ではおおむね順調であると思われるため。また、ヤマトシジミの翅の全体のイメージングについては、この一年間で大きな進歩があり、予定通り、すでに成果を得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
抗体透過実験では膜透過性ペプチドを用いて更なる実験を試みる。引き続き、腹部注射と翅透過との併用についても考慮しつつ実験を進めていく。カルシウムイメージングについても、さらに個体数を増やし、さまざまな場所をイメージングし、蛍光試薬の濃度を高めるなどの工夫を施すことで確実にシグナルを捉える条件を見出すことができると思われる。
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Causes of Carryover |
実験の内容に支障のない範囲で当初の予定よりも消耗品の節約ができたため、次年度使用額が発生した。次年度については最終年度であるため、作業効率を最大限にする目的で、人件費・謝金に多くを投じたい。合わせて、最終年度における学会発表と論文発表にも力を入れるため、国内旅費および論文掲載費にも使用する予定である。消耗品については比較的少なめに使用したい。
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Research Products
(5 results)