2016 Fiscal Year Research-status Report
FETタンパク質の翻訳後修飾によるマルチ機能制御に関する研究
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16K07700
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
亀村 和生 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (00399437)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | O-GlcNAc / グリコシル化 / FETタンパク質 / FUS / EWS / TAF15 / 前頭側頭葉変性症 |
Outline of Annual Research Achievements |
FETタンパク質ファミリー(FUS, EWS, TAF15)は、高いドメイン構造相同性をもち、転写、スプライシング、マイクロRNA生合成、mRNAの核外輸送と代謝、翻訳など、多面的に遺伝子発現調節に関与することが示唆されているが、そのマルチ機能制御メカニズムは不明である。また、FETタンパク質ファミリーは前頭側頭葉変性症の異常封入体形成タンパク質として同定されているが、異常封入体形成メカニズムは不明である。本研究の目的は、FETタンパク質ファミリーの生理機能スイッチングに関与する翻訳後修飾を同定することにより、そのマルチ機能制御メカニズムに迫ることである。平成28年度の研究実施計画に基づき、まずFETタンパク質ファミリーのうちEWSに注目し、マウス胚性腫瘍細胞株p19を用いて神経分化誘導に伴う神経細胞の出現に伴う翻訳後修飾の変動を解析し、EWSのグリコシル化分子種が増加することを見出した。次に、FETタンパク質ファミリーに起こるグリコシル化分子種の化学量論を検討し、神経芽腫細胞株Neuro-2a, SH-SY5Y、およびグリア芽腫細胞株A172におけるEWSのグリコシル化は動的に制御されていること、CD1マウス脳抽出液におけるEWSの大半がグリコシル化分子種であることを見出した。また、非神経系の培養細胞株であるHeLa, HEK293T細胞においてもEWSの大半がグリコシル化分子種であった。一方、これら全ての解析において、FUSならびにTAF15のグリコシル化分子種は検出限界以下であり、FETタンパク質ファミリーのうちでEWSのみが選択的にグリコシル化されており、1分子のEWSにつき2-3サイトのO-GlcNAc修飾を有する分子種が大半を占めることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に実施した研究において、個々のFETタンパク質に特有の翻訳後修飾として、EWSのグリコシル化を見出した。これまでのFETタンパク質ファミリーに関する知見によると、FETタンパク質ファミリーは、その高いドメイン構造相同性から、類似したメカニズムにより機能調節がなされていると考えられていた。これに対し、本研究の成果は個々のFETタンパク質に特有の機能調節メカニズムが存在することを示唆しており、FETタンパク質ファミリーの機能調節メカニズムに関する新たな研究の方向性を明示することができた。よって、概ね平成28年度の研究実施計画を達成し、期待していた成果が得られている。なお、内在性FETタンパク質で見出した成果をさらに詳細に検討するため、各FETタンパク質をクローニングし、ほ乳動物細胞発現プラスミドを作成している。現在、一過性発現FETタンパク質についても、内在性FETタンパク質と同様、EWSの選択的なグリコシル化が起こるか否かを確認するため、グリコシル化分子種の化学量論を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初に設定した平成29年度の研究実施計画に基づき、FETタンパク質に起こる翻訳後修飾の特徴をもとに、FETタンパク質の細胞内分布と翻訳後修飾の相関性を解析する。平成28年度に実施した研究において見出したFETタンパク質のうちでEWSに選択的なグリコシル化に注目し、まずはEWSのグリコシル化サイト、あるいはモチーフの同定を行う。この際、EWSと他のFETタンパク質のドメインスワップ変異体を作成し、EWSのアミノ酸配列に潜在しているグリコシル化モチーフを解析し、未だ見出されていないO-GlcNAc修飾コンセンサス配列、あるいは構造の同定を試みる。EWSのグリコシル化サイト、あるいはモチーフを同定後、グリコシル化の有無による細胞内分布の相違について、免疫染色、ならびに生化学的分画により解析し、EWSの細胞内分布や代謝におけるグリコシル化の働きを検証する。これと併せて、FUSあるいはTAF15に特有の翻訳後修飾についても精査する。
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Research Products
(4 results)