2016 Fiscal Year Research-status Report
アミロイドペプチドの凝集阻害ならびに検出を目的としたクルクミン誘導体の創製
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16K07709
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
今野 博行 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (50325247)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アミロイドβ / 凝集阻害 / クルクミン / 構造活性相関 / 水溶性 / 細胞毒性 / 活性酸素除去 / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画書に従い、水溶性クルクミン創成に向けた構造活性相関研究を行った。以前の知見からフェノール性水酸基の配置に関しては多くのデータを有するのでそれに基づき、2つのフェノールを連結するスペーサー部分について調査した。基本となるC7ジケトンからC5ジケトン、C5モノケトン、C3モノケトンタイプの誘導体を設計、合成、評価した。 分子設計としてC7リンカーでの結果からsp3炭素の存在が水溶性、アミロイド凝集特性活性共に極端に低下することを明らかにしており、すべての炭素をsp2にする必要があった。そのため、C5,C3リンカーにおいても同様にsp2炭素のみで構成し、ケトン、オレフィンからなるスペーサーを導入した。実際の合成では、アルドール縮合を選択し、最適な条件検討によって設計した分子を40種類程度得ることに成功した。 次に合成した分子の水溶性試験、アミロイド凝集体阻害実験を行った。その結果、アミロイド凝集体阻害と水溶性にはあまり相関がないことを明らかにした。よって薬物動態の面から水溶性の高い化合物を薬剤候補として選択することが可能となり、アルツハイマー病治療薬としても可能性が開けたと考えている。特にC5モノケトンならびにC5ジケトン(2,5,3',4'-テトラヒドロシキジフェニル)誘導体がよい結果を与えた。 さらに2つの候補化合物について、神経細胞PC12に対する毒性試験を行った所、水溶性の向上が毒性を低下させた。およそ1 mM (IC50) レベルであった。さらに活性酸素除去試験においても水溶性の向上が活性酸素除去能を極端に向上させることがわかり、理想的な薬剤であることを明らかにした。水中、血中での分子安定度は天然クルクミンを凌駕する結果も得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績でも述べたように水溶性向上を目指したクルクミン誘導体の創成研究を行った。新しいスペーサーを設計した分子は予想を越える良好な物性を示す結果となった。本知見は今後の薬剤開発に向けて大きな役割を果たすことが考えられることからおおむね順調に進展していると判断した。今年度の研究計画は一部は未検討の部分があるものの、多くの実験を行い、必要なデータを得ることが出来ている。未検討部分、また得られた知見から計画にはなかったものの興味が持たれる部分については2年目に検討可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を元に、さらにC6ならびにC4リンカーの検討を行うことで、最適な構造の探索に勉める。未検討部分であるアミロイドβ凝集体との結合実験を開始する。研究環境は整っており、すぐに取りかかれる体制にある。一方で、研究計画にあるようにアミロイドβの凝集量検出に向けた取り組みも本格的に開始する。メチルクルクミンについてもすでに多くの知見を得ているので、それに基づいた分子設計、合成、評価を行っていきたい。さらにパソコン上でのシュミレーションにも力を入れていく予定である。現在の状況としてはほぼ計画通り進行しているので、現状を継続し、よい結果が得られるよう様々な角度から検討していく。
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Research Products
(14 results)