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2017 Fiscal Year Research-status Report

ヒノキ落枝分解菌の分離培養と特性解明

Research Project

Project/Area Number 16K07808
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

服部 武文  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (60212148)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山下 聡  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (70450210)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords木材腐朽菌 / ヒノキ / ホロセルロース / リグニン / 褐色腐朽菌 / 白色腐朽菌
Outline of Annual Research Achievements

平成28年度に引き続き、ヒノキ林におけるヒノキ落枝の腐朽過程を明らかにするため、ヒノキ枝の腐朽期間が明らかにされた条件下、腐朽過程を定量化できる実験を続けた。具体的には、平成28年7月に長さ20 cm、直径約10 cmヒノキ枝を、市販の洗濯ネット1枚に1つづつ入れ、徳島県阿波市ヒノキ林に、1 m間隔で、斜面傾斜方向に7列、斜面横方向に12列、洗濯ネットをペグで地面に打ち付けて、自然の環境下に置いた。約12か月後、平成29年7月に、28個ヒノキ枝を回収し、ドリルで穴をあけ、木材サンプルをドリル削りかすとして採取し、重量減少率、ホロセルロース密度、リグニン密度の変化を明らかにした。尚、密度は、各成分の重量を、ドリル穴の体積で除して求めた。さらに、同じヒノキ林にて、ヒノキ伐採後5年、14年、22年経過したヒノキ切株より木材サンプルを採取し、同様に分析した。ヒノキ枝では、約12か月置くことにより、ホロセルロース密度は設置前の81%に減少した。リグニン密度は設置前に比べ殆ど変化は認められなかった。一方、22年経過切株においては、約12か月自然環境に置いたヒノキ枝に比べ、重量減少率、ホロセルロース密度は、さらに小さい値を示した。一方、リグニン密度は、約12か月間自然環境に置いたヒノキ枝に比べ、大きな変化は認められなかった。
以上の結果より、ヒノキはホロセルロースが主に分解を受け、リグニンの重量は大きな変化を受けないで腐朽が進行することが知られた。さらに、伐採後14年経過したヒノキ切株より、分離培養菌株2種を得た。ゲノムDNAの塩基配列を基にすると、各々褐色腐朽菌、白色腐朽菌と相同性が高い菌株であることが知られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成29年度研究実施計画では、1.ヒノキ細胞壁を腐朽する菌類の取得(1-1ヒノキ林におけるヒノキ乾燥枝腐朽進行の定量化)、2.分離培養した菌の特性解明(2-1ヒノキを用いた腐朽試験)の2点を行う予定であった。
まず、1-1に関しては、予定通り進行している。具体的には、研究実績で記載したようにヒノキ林にヒノキ枝試料を約12か月間置いた。平成29年7月11日、28個ヒノキ枝試料を回収した。ヒノキ枝試料では、ホロセルロース密度は約12か月置くことにより設置前の81%に減少した。一方、リグニン密度は設置前に比べ殆ど変化は認められなかった。
別途、同じヒノキ林にて、ヒノキ伐採後5年、14年、22年経過したヒノキ切株より木材サンプルを採取し、同様に分析した。切株においては、重量減少率、ホロセルロース密度は、約12か月自然環境に置いたヒノキ枝に比べ、さらに小さい値を示した。
2-1に関しては、分離培養菌の取得後の進行が、やや遅れている。具体的には、まず、分離培養に供する木材試料表面の滅菌の仕方を工夫することにより、伐採後14年経過したヒノキ切株より、分離培養菌株2種を得た。ゲノムDNA塩基配列を基にすると各々褐色腐朽菌、白色腐朽菌と相同性が高い菌株であることが知られた。
次に、分離培養した菌1種をグルコース、ペプトン、麦芽抽出液による培地、あるいは、ポテトデキストロースによる培地で培養し、JISの腐朽試験菌であるオオウズラタケ、カワラタケと生育速度を比較した。その結果、オオウズラタケ約1/8程度の生育速度であった。腐朽試験は、オオウズラタケの生育速度の場合でも、菌糸の大量調製を含め、約4か月は必要とされる。その為、分離培養した菌の生育速度では、供試菌糸を大量に調製する手順を検討する必要が生じた。その結果、木材腐朽試験に進むことが出来なかった。

Strategy for Future Research Activity

ヒノキ林にてヒノキ枝試料を引き続き腐朽させ、腐朽過程を、重量減少率、ホロセルロース密度、リグニン密度等の変化で評価する。
さらに、平成29年度分離培養した菌株の、ヒノキ細胞壁の分解能力を明らかにする為、腐朽試験を行う。その際、平成29年度の検討では、菌の生育速度がJISの腐朽試験菌よりずいぶん遅い事が明らかになっている。そこで、まず、腐朽試験に供する菌糸を大量に調製する手順を検討する。また、JIS規格で表記されている期間(JIS Z 2101: 2009では、60日間)よりも、より長期に腐朽試験を行わなければならない可能性も有る。そこで、腐朽試験の際の菌の生育状況を観察することにより、腐朽試験の期間を判断する予定である。
さらに、分離培養された菌の中で、既往の白色腐朽菌に相同性が高い菌に関しては、別途培養し、リグニン分解酵素の活性が検出されるか否か分析し、酵素の種類を特定することとする。
平成29年度腐朽状況を明らかにしたヒノキ切株より、前年度より一年経過後の木材サンプルを採取し、腐朽進行過程を明らかにする。
以上の結果を取りまとめて、ヒノキ腐朽過程及び、ヒノキ落枝分解菌の特性を考察する。

Causes of Carryover

(次年度使用額が生じた理由)当初の計画においては、平成29年度中に分離培養した菌株の腐朽試験を完了する予定であった。しかし、当該菌株の生長速度は、JISの腐朽試験菌であるオオウズラタケに比して著しく遅いことが明らかとなった。腐朽試験を行うためには、菌糸を前培養し、十分な量の菌糸を獲得することを行わなければならないが、培養条件の検討に時間がかかると考え、着手していない。以上が、次年度使用額が生じた理由である。
(使用計画)
当該菌株の菌糸量を増やす、前培養条件を検討するために、使用する予定である。具体的には、JIS腐朽試験菌オオウズラタケの場合、200 ml三角フラスコに50 ml培地を入れ、別途平板培地で培養した菌糸ディスクを6片添加すると、約1月の培養で、腐朽試験に用いる菌が準備できる。さらに、大量培養した菌糸を腐朽試験ビンに注ぎ、約1週間の培養で、木材片を添加できる。しかしながら、当該分離培養菌の場合、添加する菌糸ディスクの数、三角フラスコ内での培養期間、腐朽試験ビンの中での培養期間について、当該費用を用いて検討する。さらに、白色腐朽菌に相同性が高い菌株においては、当該費用を用いて、酵素活性を検出する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ヒノキ林におけるヒノキ材腐朽過程の観察2018

    • Author(s)
      服部武文、井本朗暢、張西郁男、藤井良光、阿部正範、 山下聡
    • Organizer
      第68回日本木材学会大会
  • [Presentation] ヒノキ材の分解過程と分解菌の関係 徳島県のヒノキ林における事例(予報)2018

    • Author(s)
      山下聡、井本朗暢、張西郁男、藤井良光、阿部正範、服部武文
    • Organizer
      第129回日本森林学会大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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