2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K07815
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
戸田 正彦 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場, 主査 (60446317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 了 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場, 研究主任 (40718582)
植松 武是 北海学園大学, 工学部, 教授 (60462347)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 降伏耐力 / 初期剛性 / 接合具間隔 / 縁端距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、以下の3項目について研究を進めた。 1)縁端距離や接合具間隔が接合性能に及ぼす影響の把握:スギ製材とCN90釘を用いて、木質構造設計規準に定められた縁端距離の基準値をもとに、距離を狭めた条件での加力試験を行い、基準距離に対する比と接合性能との関係を求めた。その結果、端距離を基準値の半分にすると降伏耐力は平均で85%、下限値で75%まで低下したが、縁距離の影響はそれほど大きくなかった。 2)最適な接合具配置を求める手法の検討:木質構造設計規準で定められている接合具間隔をもとに、釘(CN50~CN90)またはボルト(M12、M16、M20)1本当りの占有面積を算出し、さらに厚さ105mmの製材での1面せん断性能(降伏耐力、初期剛性)を理論式によって計算して、単位面積あたりの性能に換算し比較を行った。その結果、降伏耐力はボルトの方が大きく、逆に初期剛性は釘の方が大きくなる結果となった。また、降伏耐力、初期剛性ともに、釘・ボルト含めて径が大きいほど性能は低下する傾向が認められた。 3)接合具の配置がモーメント抵抗性能に及ぼす影響の把握:モーメント抵抗性能試験の対象となる接合部仕様の選定を行うにあたり、直径16mmのピンを用いた鋼板挿入ドリフトピン接合を想定し、半径86mmの円周上にピンを等間隔に8本配置した場合のモーメント抵抗性能を試算した。その結果、同じ円周上であっても、1/8π(22.5度)ずれると降伏モーメントは15%程度変化することが確認された。このようにモーメント抵抗性能に関しては、木材の異方性の影響により、同じ円周上の配置でも位置によって各ピンが荷重を負担する方向が異なることにより、性能が変化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実験によって得られた、縁端距離や接合具同士の間隔を変化させた場合の荷重-変形量のデータを組み合わせることによって、任意の配置での耐力を推定することが可能となる。また、接合具間隔を狭めた場合には強度性能は低下する可能性あるが、逆に配置可能な本数は増加することから、両者のバランスを考慮することによって最大の性能となる間隔および配置が求められると考えられる。以上より、今年度は概ね順調に進捗したと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
縁端距離、接合具間隔が接合性能に及ぼす影響を、特に木材の異方性に着目しながら比較的単純な仕様での実験によって把握する。またモーメント抵抗接合部を対象に、いくつかの接合具配置を設定し、木材の異方性を考慮することによって性能がどの程度向上するのかを試算するとともに、実大加力試験によって検証する。
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Causes of Carryover |
試験計画を検討した結果、次年度に実施する強度実験用の材料の総量を増やしたため
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Research Products
(2 results)