2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K07869
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
大迫 一史 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00452045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒瀬 光一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (30280754)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オオグソクムシ / かまぼこ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,オオグソクムシのかまぼこゲル形成能を明らかにした。ホモジナイズしたオオグソクムシに対して2倍量(w/v)の6.0%NaCl水溶液を加えてホモジナイズした後,シーソーシェイカーを用いて20分間氷中で振盪させた。これを遠心分離した後,上清に冷イオン交換水を加えて10倍に希釈(v/v)した後,スターラーを用いて30分間攪拌させた。攪拌後,再び10分間遠心分離し,固相を回収した。得られた固相を脱水シートに伸ばして挟み,冷蔵庫内で24時間静置した。脱水後の試料を乳鉢を用いて均一化し,別の脱水シートを用いて再び4℃の冷蔵庫内で24時間脱水した。これについて,定法でかまぼこゲルを調製した。かまぼこゲルの破断強度は40℃で120分加熱した場合,100g前後の高い値を示した。40℃で120分加熱したかまぼこゲルの破断凹み率は,60%前後と非常に高い値を示した。破断強度は魚類から調製したかまぼこゲルに比較すると値は低いものの,食品としてはとくに問題無いものが得られた。また,60℃および90℃で120分加熱したものは,破断強度,破断凹みともに,これに比べて非常に低い値を示し,内在性プロテアーゼの影響と思われた。SDS-PAGEで確認したところ,40℃で調製した加熱ゲルのタンパク質は高度に重合化していたが,60℃および90℃で加熱したもののミオシン重鎖のバンドは分解していた。 アレルゲン性については,平成28度までの研究で,オオグソクムシ中に甲殻類・軟体動物アレルギー患者IgEと結合するタンパク質が存在することを見出した。平成29年度はそのタンパク質の性状解析を行った。水生昆虫の抗トロポミオシン抗体および甲殻類・軟体動物アレルギー患者血清を用いたイムノブロッティングにより,アレルギー患者IgEと結合するオオグソクムシの抗原タンパク質がトロポミオシンである可能性の高いことを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度では,オオグソクムシ筋肉中には他の甲殻類と同様,高いプロテアーゼ活性が見込まれるため,プロテアーゼのタイプと,この活性を抑制するための天然由来インヒビターを検索し,高品質なかまぼこゲルを得るための製造法を開発する。
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Causes of Carryover |
(理由)学会への参加、および学会誌への投稿の予定であったが、学会への参加は他の研究資金から経費を支出した、また、研究そのものの進捗は問題が無いが、論文を執筆するのが遅れたため学会誌への投稿が果たせず次年度使用額が生じた。 (計画)平成30年度はあらためて学会への参加、また、論文の執筆、学会誌への投稿を行う予定である。
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Research Products
(1 results)