2016 Fiscal Year Research-status Report
カンピロバクター食肉汚染防除のための鶏腸管・環境メタゲノム解析
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16K08015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 孝康 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (70725514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関崎 勉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70355163)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カンピロバクター / 食中毒 / メタゲノム解析 / 16S rRNA遺伝子 / 定量的PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
国内の養鶏場3カ所に協力を依頼し、生体試料として鶏盲腸便を収集した。また、環境試料として餌箱・給水器・ファン・作業員靴底のスワブ拭き取り試料を収集した。試料収集は、異なる2回の出荷時期に加え、空舎期間も対象とした。それぞれの養鶏場において、盲腸便は8試料以上、各環境試料は2試料以上を収集した。まず、試料からDNAを抽出したところ、定量的PCRおよび高速シーケンサーでのシーケンシングに十分な量が抽出できていることを確認できた。各試料を、Campylobacter jejuniおよびC. coliそれぞれの遺伝子に特異的な定量的PCRに供した結果、両細菌種に汚染された養鶏場と汚染されていない養鶏場とを区別することができた。またこのとき、汚染された養鶏場についても、試料採取時期の違いによって汚染・非汚染の別があることがわかった。ここで、これらの試料に対して16S rRNA遺伝子増幅を伴う細菌叢メタゲノム解析を実施したところ、養鶏場間で主要な細菌群は類似していた。しかし、主座標分析などから、希少細菌も含めた全細菌組成は養鶏場ごとに異なっており、養鶏場ごとのクラスターを形成することが示された。また、鶏の出荷時期を問わず、Helicobacter属などいくつかの細菌においてC. jejuniまたはC. coliとの量的相関関係を認めたが、解析に供した試料数が少ないため、今後の詳細な検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
養鶏場への協力依頼、試料収集、そしてその後の各種解析に至る流れは本年度で確立し、解析も一定の成果があったと考えている。養鶏場は衛生管理が厳しく、研究者など外部の者の立ち入りを強く制限しているのが一般であるため、協力を依頼した養鶏場での試料採取は主として現場の職員に委託することとなったが、3カ所の養鶏場がいずれもそのような作業を承諾されたこと、および実際の試料収集を精度よく実施されたことが、現在までの本研究の順調な進展につながっている。また、収集した試料の処理やその後の解析作業などは、本研究室がこれまでに培ってきた野外試料の処理技術などによって問題なく進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の進捗はおおむね順調であったと思われる一方で、年度後半には鶏インフルエンザの流行に伴う養鶏場管理の厳格化などの影響で、試料収集が思うようにいかなかった面もある。次年度は協力養鶏場の追加による試料数増加を目指しつつ、各養鶏場で収集する試料種別の必要性やその数的構成などを検討しながら、効率よく試料収集を進めたい。そして、解析では試料数増加による統計的有意性の議論など、本年度に成し得なかった内容の実施を計画している。
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