2016 Fiscal Year Research-status Report
新規αグリコシダーゼ阻害剤を用いた特異的抗コロナウイルス薬の開発
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16K08032
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
氏家 誠 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (50415478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袴田 航 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10333337)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コロナウイルス / 抗ウイルス薬 / 小胞体αグルコシダーゼ阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体αグルコシダーゼ阻害薬(AGI)は、糖蛋白質の品質管理に関与するαグルコシダーゼの働きを抑制する事で糖蛋白質の合成を阻害する。このため、AGIは、一部のエンベロープウイルスに対して抗ウイルス活性を持つ事が報告されており、この作用はウイルス糖蛋白質の合成阻害に起因すると考えられている。しかしながら、コロナウイルス(CoV)を用いてAGIの抗ウイルス活性を評価したところ、これまで報告されている機構とは全く異なる機構によってCoVの増殖を阻害する事が示唆された。本研究では、新しく見つかったAGIによる抗CoV機構の解明を行うと共に、新規AGIの検索により幅広いCoVに効果のある抗ウイルス薬の開発を目標とする。本年度は、化合物ライブラリーから新規AGIのスクリーニングを行い、動物CoV(MHV及びPEDV)を用いてその抗ウイルス活性の評価を行い下記の成果を得た。 1)AGI活性を持つ新規化合物の検索:化合物ライブラリからのバーチャルスクリーニング及び天然化合物からのスクリーニングによりAGI活性を持つ母核を見出し、これらの誘導体を約50種類合成した。これら化合物のAGI活性は、小胞体AG活性を細胞レベルで可視化する蛍光基質を用いて確認した。 2)新規化合物の抗ウイルス活性の評価:これらの新規AGIのMHV及びPEDVへの抗ウイルス活性を評価した所、既知AGIと比べて強力な抗ウイルス活性を持つ4つの新規AGIを同定した。 本年度の成果により、動物CoVに対して強い抗ウイルス活性をもつ新規AGIが同定できた。今後は、これらの新規AGI及び既知AGIを用いて、AGIの持つ抗CoV機構の解明を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年計画となっており、初年度は主に新規AGIのスクリーニングとその抗CoV活性(MHV、PEDV)の評価を行う予定であった。AGIによる抗CoV機構の解明は、全研究期間(3年間)をかけて行う予定であり、主に既知AGIを用いて現在その研究を進めている。以上の進捗状況から、年間あたりの研究目的はほぼ達成できたので達成度を②とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、動物CoVに対して強い抗ウイルス活性をもつ4つの新規AGIを同定する事が出来た。しかしながら、同定した4つの新規AGIは、構造的に互変異性体を持ち、安定したAGI活性を得るためにはさらなる化学修飾の余地がある。次年度は、この4つの化合物を元に、さらに化学修飾を行う事でより安定したAGI活性を持つ化合物の合成を試みる。また、同定した新規AGI及び既知AGIを用いて、AGIの持つ抗CoV機構の解明を行う。
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Causes of Carryover |
本年度の直接経費1,300,000円は、ほぼ計画通りに使用したが少額ながら8,459円の未使用金が発生したため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、プラスチック消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)