2017 Fiscal Year Research-status Report
地方病性牛白血病制御のための開発研究~予後診断法の改良とワクチン開発~
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16K08060
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
岡崎 克則 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (90160663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 宜明 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (20415558)
菅野 徹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主席研究員 (80355205)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地方病性牛白血病 / 牛白血病ウイルス / Tax蛋白質 / 血管新生 / 病原性 / アネキシンA3 / 予後診断 / リアルタイムPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、2013年にTax蛋白質の233番アミノ酸がLeu(L型)の牛白血病ウイルス(BLV)はP型のそれに比べ有意に地方病性牛白血病(EBL)の潜伏期が短いことを報告した。本研究は、Taxを標的分子としてEBLの発生を制御することを目的とする。平成28年度は、L型Tax発現細胞の培養上清がP型のそれに比べヒト臍帯静脈血管内皮細胞誘引物質を多く含み、これが生体において血管新生を促す可能性を示した。また、ワクチン候補株である感染性クローンを作出した。平成29年度には、(1)疫学調査、(2)Taxの変異と病原性の関連解析、(3)BLV感染牛予後診断法の開発、(4)ヒツジを用いたワクチン候補株の評価を計画した。 (1)道内15農場のBLV感染黒毛和種237頭についてTaxの型と末梢ウイルスコピー数の関係を調べた。その結果、L型BLV感染牛の平均コピー数はP型のそれに比べ有意に少ないことが分った(p<0.001)。しかしながら、L型BLV感染牛では極端な高値を示す個体が散見された。このような個体がEBLを早期発症するものと考えられる。 (2)L型及びP型Tax発現細胞培養上清のプロテオー厶解析を実施したところ、L型Tax発現細胞は血管内皮細胞誘引物質であるアネキシンA3をP型Tax発現細胞の6倍以上産生することが分った。L型BLV感染細胞が産生するアネキシンA3がEBLの増悪に関与する可能性が高い。 (3)TaqManプローブを用いたリアルタイムPCRによるTaxの迅速型別法を開発した。(2)の成績から、予後診断法として血中アネキシンA3濃度の測定が有望と考えられる。 (4)動物実験に供する予定であったBLV感染性クローンに不備がある可能性が明らかとなったため、実施しなかった。現在、新たに感染性クローンを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにおけるTaxの変異と病原性の関連解析ならびに予後診断法の開発においては、想定以上の進展が得られた。一方、ワクチン開発に関しては候補株の評価実験が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
リアルタイムPCRによるTaxの迅速型別法の感度を高める必要がある。 予後診断の普及を計るため、ウシのアネキシンA3に対する抗体を作出して簡便かつ安価なELISA診断系を開発する。 速やかに感染実験を実施する。
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Causes of Carryover |
動物実験を実施しなかったため。また、未使用分は疫学調査に係る人件費に流用する予定であったが、別の資金で賄われたため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)