2017 Fiscal Year Research-status Report
トランスサイレチンの単量体補足を基盤とする革新的抗アミロイドーシス薬の開発
Project/Area Number |
16K08193
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
横山 武司 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (50524162)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アミロイドーシス / トランスサイレチン / PPI創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はトランスサイレチン(TTR)単量体に結合することで、四量体会合を阻害する化合物の開発を目的としている。TTRの四量体形成を阻害する化合物は、TTRを小胞体関連分解へ導き、TTRのアミロイド線維形成を阻害すると期待している。昨年度までに、システインを導入したTTRの調製に成功し、X線結晶構造解析に成功した。しかし、単量体TTRの立体構造が公開されたことを受け、研究推進を優先するために、この立体構造モデルを用いてドッキングシミュレーションを行った。今年度はその結果の解釈およびアミロイド線維形成阻害実験を行った。その結果、いくつかの化合物がTTR単量体に結合することが示唆された。また、独自の研究室内化合物ライブラリを用いて、TTRに結合する化合物もいくつか同定することができた。天然物であるゴシポールやロットレリンやFDA承認薬であるジアセレインがTTRのアミロイド繊維化の形成を阻害することを明らかにした。ゴシポールとロットレリンはアミロイド繊維を直接分解するアミロイド線維溶解作用と、TTR四量体に結合することでアミロイド線維形成を阻害するTTR四量体安定化作用を示し、目的とするTTR単量体に結合する化合物ではなかった。一方でジアセレインは化学架橋実験の結果から、TTR単量体もしくは二量体を安定化する結果が得られた。このことは、ジアセレインがTTRの単量体あるいは二量体に結合して、アミロイド繊維形成を阻害している可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インシリコドッキングシミュレーションと研究室内化合物ライブラリおよび線維形成阻害作用試験によって、いくつかのTTRアミロイド線維形成阻害剤を発見した。その化合物の一つであるジアセレインは、単量体もしくは二量体に結合していることが、化学架橋実験の結果から示唆されており、目的とする候補化合物が得られた。そのため、順調に進展していると評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は予定通りに進展しているため、計画書通りに、線維形成阻害化合物とTTRの結合分析を実施する。研究計画の変更はない。
|
Causes of Carryover |
【理由】試薬や旅費等の申請書作成時の見積りと実際の費用の誤差によるものである。 【使用計画】結合分析に必要な試薬を購入するために使用する。
|