2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of kidney failure-related cognitive decline
Project/Area Number |
16K08196
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大和 真由実 九州大学, 薬学研究院, 学術研究員 (30380695)
|
Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 尿毒素 / 酸化ストレス / 脳障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代は、合併症を有する患者が多くなっている。これらの疾患では、単一臓器に限局する障害はまれであり、いずれかの臓器が障害されると、互いの臓器を傷つけあう負の連鎖を形成する。 その原因物質の1つが、アミノ酸代謝過程で生成する尿毒症物質であり、中でも、グアニジノコハク酸は、電気生理学的検討や動物実験によりNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体作動薬となることが報告されている(Neuropharmacology. 35(4)1996:433-40)。NADA受容体は、記憶や学習に重要な機能を持つ一方、カルシウムの過剰流入やフリーラジカルの生成による神経細胞死に深く関わる。そこで、本研究では、多臓器連関に関わる疾患因子として、尿毒症物質と酸化ストレスに着目し、疾患モデルマウスにおける腎機能および脳機能障害の機序を明らかにすることを目的とした。 アデニン含有食餌を6週間摂取させたマウスにおいて、血中クレアチニン及びBUN値が上昇していたことから、腎障害が確認された。アデニン摂取マウスの血中及び脳内でのGSA量を測定したところ、対象群に比べ有意に上昇した。また、アデニン摂取マウスでは、海馬CA3領域において錐体細胞数が減少し、放射状水迷路試験において認知機能が有意に低下していた。次に、このGSAによる神経障害の機序を明かにする為に、神経様細胞の分化PC12細胞にGSAを添加したところ、濃度依存的に細胞死が引き起こされ、同時にROSを産生していることが明かとなった。加えて、このGSAによる細胞障害は、NMDA受容体アンタゴニストMK801又は抗酸化剤であるTEMPOLの添加によって抑制された。以上の結果から、アデニン摂取マウスでは、腎障害により生成した尿毒素GSAがNMDA受容体を介した酸化ストレスを惹起し、神経細胞死さらには認知機能の低下を引き起こす可能性が示された。
|
Research Products
(1 results)