2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化誘導因子p14ARFによる新規発がん抑制機構の解明
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16K08222
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 宏治 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (80360949)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | p14ARF / SIRT1 / 細胞老化 / がん抑制遺伝子 / 脱アセチル化 / シグナル伝達 / Nrf2 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. p14ARFがSIRT1の基質である老化関連転写因子の機能に及ぼす影響について解析した。 (1) SIRT1の基質である転写因子FoxO3aおよびHIFの転写活性に対するp14ARFの影響を、レポーター遺伝子を用いたルシフェラーゼアッセイにより解析した。その結果、293細胞において、p14ARFの過剰発現は、FoxO3aおよびHIFにより誘導されるそれぞれのレポーター活性を有意に減弱させた。(2) p14ARFがHIFの標的遺伝子の発現に及ぼす影響をqRT-PCR法により解析した結果、p14ARFのknockdown は、低酸素下で誘導されるHIFの一部の標的遺伝子の発現を有意に増強した。 2. SIRT1の基質であるストレス応答性転写因子Nrf2の機能制御におけるp14ARFの役割について解析を行った。 (1) 293細胞およびH1299細胞において、p14ARFがNrf2標的遺伝子の発現に及ぼす影響をqRT-PCR法により解析した結果、抗酸化物質tBHQで誘導されるNrf2標的遺伝子の発現がp14ARFのknockdownにより有意に減弱した。また、ルシフェラーゼアッセイを行ったところ、p14ARFのknockdownは、tBHQで誘導されるNrf2の転写活性の上昇を有意に減弱させた。(2) 293T細胞を用いた共免疫沈降実験の結果から、Nrf2とp14ARFは物理的に結合すること、p14ARFが転写共役因子PIAS1と複合体を形成すること、さらに、p14ARFの共発現はNrf2とPIAS1の結合性を増強させることが判明した。また、PIAS1のknockdownはNrf2の転写活性および標的遺伝子の発現を有意に減弱させた。以上の結果から、p14ARFはPIAS1リクルートすることにより、Nrf2を介した遺伝子発現を正に制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SIRT1の基質である老化関連転写因子のうち、FOXO3aをについては、その遺伝子発現制御に対するp14ARFの効果の解析(FOXO3aの標的遺伝子の発現に対する影響の解析)がまだ完了していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は以下の解析を行う。 1.引き続き、FOXO3aの標的遺伝子の発現に対する p14ARF knockdownの影響を定量的RT-PCR法により解析する。 2. p14ARFによるSIRT1脱アセチル化酵素活性抑制が、がん遺伝子の活性化で誘導される細胞老化および形質転換に及ぼす影響について解析を行う。
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Research Products
(1 results)