2016 Fiscal Year Research-status Report
Myosin1Eを核としたタンパク質複合体による細胞運動制御機構の解明
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16K08238
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
谷村 進 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (90343342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 弘資 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (10313230)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミオシン / 細胞運動 / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞運動は様々な反応が時空間的に精緻に統合された結果として誘起される細胞応答であり、その制御機構の破綻はがん細胞の浸潤転移能の獲得に繋がる。本研究では「Myosin1Eを核とした複合体の形成がどうのようにして調節されるのか」、またそれによって「どのようにして細胞運動能が制御されるのか」を解析することで、Myosin1Eを核としたタンパク質複合体による新たな細胞運動制御機構の詳細を分子レベルで明らかにすることを目的とする。当該年度は以下に示す2項目の研究成果を得た。 1. Myosin1E複合体形成調節メカニズムについて Myosin1E はそのレギュレータであるSH3P2によって細胞内局在が調節され、それが細胞運動の調節の一因であることを明らかにした。また、Myosin1Eに結合する分子としてSNX9を見いだしていたが、その結合形式を明らかにした。すなわち、SNX9はそのSH3ドメインがMyosin1EのTH2ドメイン内にあるプロリンリッチ配列に直接結合することが分かった。 2. Myosin1E複合体形成による細胞運動調節メカニズムについて Myosin1E、SNX9あるいはCavin3の発現を抑制した条件下において、Boyden chamber assayを用いて細胞運動を測定したところ、いずれも運動能が低下することが分かった。よってSNX9とCavin3はMyosin1Eのエフェクターとして細胞運動を調節する可能性が示された。また、SH3P2ノックアウトマウスから調製した骨髄由来マクロファージは、RANKL刺激による破骨細胞への分化が野生型と比較して促進されることを見いだした。この破骨細胞分化促進が細胞運動の上昇に起因するのかは現時点では不明であるが、SH3P2の生理的な機能を示唆する興味深い結果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に示した2項目に基づいて研究を進め、当初の予定に近い形で研究は進展している。なお、細胞運動調節メカニズムについては、当初計画していた一部の評価系を充分に進められていないため、その点については次年度に行う。一方、ノックアウトマウスを用いた解析では、予想していなかった新たな結果を得つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果を踏まえながら、「Myosin1E複合体形成調節メカニズム」および「Myosin1E複合体形成による細胞運動調節メカニズム」の解明を目指す。 前者については、SH3P2がMyosin1Eとエフェクター分子に及ぼす影響を中心に解析する。後者については、エンドサイトーシスに対する影響を評価に加えながら検討する。また、ノックアウトマウスを用いた解析では発展的な結果を得つつあるため、Myosin1Eとエフェクター分子の役割に焦点を当てながら解析を進める。
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