2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K08239
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹尾 透 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 講師 (10517014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
異島 優 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学系), 准教授 (00457590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不妊症 / 受精 / 精子 / 硫黄 / チオール / 酸化ストレス / 運動能 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内に存在する硫黄は、レドックス恒常性の維持や生体機能の調節に関与することが知られているが、生殖における役割は明らかになっていない。研究代表者は、各種硫黄含有化合物が受精能の改善に有用であることを明らかにしており、生殖における生体硫黄の重要性を見出している。本研究では、生体硫黄が精子の生殖機能に及ぼす影響(実験1)や加齢が生殖器官の生体硫黄状態に及ぼす影響(実験2)を明らかにし、含硫化合物を用いた生殖機能改善法の開発(実験3)により、加齢性不妊症に対する新規不妊治療法に有用な基礎的知見の収集を進めている。平成28年度は、精子中チオールの酸化還元状態が受精能に及ぼす影響を検討し、精子中チオールの酸化が、精子運動パターンを変化させ、受精機能の低下を引き起こすことを明らかにした。現在、精子中チオール酸化による受精能低下について、メカニズムの解明および改善法の探索を進めている。さらに、精子中チオールの酸化が受精能低下に関与することが明らかになったことから、精子中チオールの酸化度を評価する新規定量法を開発し、精子の酸化度を基準とした受精能評価が可能になった。来年度以降は、本研究計画に基づいて、生殖における生体硫黄の機能解明を進めると共に、加齢による生殖機能低下と生体硫黄の関係、含硫化合物を利用した生殖機能改善法に関する検討を遂行する予定である。本研究の結果は、酸化ストレスによる雄性不妊の原因解明や新規治療法の開発が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って、実験が進行中であるため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、生体における硫黄化合物の変化が、不妊症に及ぼす影響を検討している。現在、精子中硫黄の酸化が、受精能力を顕著に低下させることを見出している。 今後の方策として、精子中硫黄の酸化による受精能低下の原因の解明および機能改善に関する実験を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、実験1において効率的に実験が遂行され、早期に良好な結果が得られたことから、マウス購入、動物飼育管理費用、物品費等を節約することができたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度以降では、実験2および実験3の長期間に渡る動物実験を予定しており、多くの費用が必要となることが予測されることから、平成28年度の予算を活用し研究目標の達成に努める。
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