2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K08306
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小野 政輝 東海大学, 農学部, 教授 (60177269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 伸 東海大学, 農学部, 准教授 (10512923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 樹脂配糖体 / コンボルブリン / ヤラピン / ヒルガオ科植物 / ハリアサガオ / コヒルガオ / ブラジルヤラッパ / サツマイモ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ハリアサガオ種子とコヒルガオ地上部を、それぞれメタノールで抽出し、エキスを得た。ハリアサガオのエキスは溶媒間分配し、また、コヒルガオのエキスはポリスチレン樹脂担体と分子篩型担体のカラムクロマトグラフィーを用いて分画し、両エキスから樹脂配糖体画分を作成した。 2.先に作成していたブラジルヤラッパ根のエーテル不溶性樹脂配糖体(コンボルブリン)画分から様々な手法を用いて、化合物の単離を試みたが成功しなかった。これは、フリーなカルボキシル基を有するアシル化配糖酸によるミセル形成に起因すると考えられた。そこで、カルボン酸の緩和なメチル化触媒として報告されている塩化インジウム(III)をコンボルブリン画分のメタノール溶液に加え、還流すると分離可能なスポットが生成した。本処理画分から高速液体クロマトグラフィーを含む各種クロマトグラフィーを用いて、4種の新規アシル化配糖酸のメチルエステルを得た。また、それらの化学構造を核磁気共鳴分光法と質量分析法を用いた機器分析ならびにアルカリ加水分解生成物と部分アルカリ加水分解生成物の同定により決定した。これらの化合物は、有機酸のスピロケタール位の立体配置の異なるエピマーの平衡混合物として存在していた。また、上記化合物の化学構造とコンボルブリン画分の質量分析から得られた知見を考え合わせて、本コンボルブリン画分の一部はアシル化配糖酸のモノマーと推定した。 3.ハリアサガオ種子の樹脂配糖体画分から1種の新規樹脂配糖体を各種クロマトグラフィーを用いて単離し、その化学構造を機器分析ならびにアルカリ加水分解生成物の同定により決定した。本化学物は、アグリコンと糖部水酸基の間に有機酸が挿入されて、大環状エステル構造を形成した新タイプのエーテル可溶性樹脂配糖体(ヤラピン)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、ヒルガオ科植物に含有される樹脂配糖体をシーズとする医薬品開発のための基礎研究として、新規樹脂配糖体を単離、構造決定するとともに、それらの有する様々な生物活性を明らかにすることを目的としている。平成28年度は植物エキスからの樹脂配糖体画分の作成、それらの画分の生物活性試験、ならびに樹脂配糖体画分からの化合物の単離、構造決定に関する研究を実施する計画を立てた。これらのうち、研究実績の概要で記述したように、2種のヒルガオ科植物から樹脂配糖体画分を作成した。また、2種の樹脂配糖体画分に含まれる新規樹脂配糖体5種の構造を決定した。さらに、先に作成していたサツマイモ塊根の樹脂配糖体画分とコヒルガオ地上部の樹脂配糖体画分についても、化合物の分離を進めている。しかしながら、熊本地震の影響が甚大であり、研究施設の移転、機器や器具の破損ならびにサンプルの損失等により当初計画していた樹脂配糖体画分の生物活性試験は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなヒルガオ科植物材料を入手し、樹脂配糖体画分を作成する。また、分離途上にある、ハリアサガオ、サツマイモならびにコヒルガオに含まれる樹脂配糖体を単離、構造決定する。さらに、昨年度実施できなかった各種樹脂配糖体画分のアルロニダーゼ阻害活性、リポキシゲナーゼ阻害活性、マクロファージ様細胞からの一酸化窒素(NO)放出活性、およびヒト由来ガン細胞における抗腫瘍活性等の生物活性試験を行うとともに、エキスで見出された活性について、化合物レベルで試験し、構造活性相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
熊本地震により研究施設が壊滅的な被害を受け、復興のために研究課題の実施に十分な時間が取れなかったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費は、物品費として主に、試薬類、ガラス器具類、オープンカラム用担体、ならびにHPLC用カラムに使用する。また、当該年度に物品費として計上していたうち1,316,404円については、次年度に繰り越して継続して使用する。なお、1品又は1組若 しくは1式の価格が50万円以上の物品の購入は予定していない。
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Research Products
(4 results)