2017 Fiscal Year Research-status Report
高血圧腎障害に対する新規治療薬RAGE-DNAアプタマーの開発とメカニズムの解明
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16K08564
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
柴田 了 久留米大学, 医学部, 講師 (10723588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深水 圭 久留米大学, 医学部, 教授 (80309781)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RAGE-DNAアプタマ- / RAGE / アルドステロン / 終末糖化産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は平成28年度にDOCAsalt高血圧マウスにおいてAGE-RAGE系をブロックすることで腎臓におけるMR発現量は有意に低下することを突き止めたことから、MR拮抗薬で抑制しえない慢性腎臓病の進行にAGE-RAGE系が強く関係していることが示唆された。加えて、終末糖化産物の一つであるN-カルボキシメチルリジンはポドサイト培養細胞においてアルドステロンとは独立してMR発現量を増加させることを突き止めた。この結果から、アルドステロンとは独立してAGE-RAGE系の活性化がMR系に影響することが考えられた。そこで今年度はMR活性化とAGE-RAGE系の関連についてヒト検体を用いてその関係性について検討した。大分大学内分泌代謝内科柴田洋孝教授の協力の元、原発性アルドステロン症疑い患者の血清、尿検体および血漿から抽出した末梢単核球(PBMC)を集めることができた。PBMCのmRNA解析を行ったところ、PBMC中のMR mRNAとMR下流遺伝子であるSGK1は有意な正相関を認めたことから、PBMCにおける遺伝子発現解析に信頼性があることが確認できた。次に、RAGEの主なリガンドで炎症メディエーターの一つであるHMGB1(Human mortality group box-1)の発現とMR mRNA発現に強い正相関関係があることを突き止めた。この結果から、アルドステロン高値の状態でPBMC上のMRは活性化しており、HMGB1産生を誘導している可能性が示唆された、数多くの基礎および臨床研究においてHMGB1はRAGEに結合し細胞内の酸化ストレスを増加させることが知られており、今後はRAGEの発現を検討するとともに、血漿中の各種AGE値とアルドステロン値およびMR活性の程度がどのように相関するのかと解析する予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較的頻度が少ない原発性アルドステロン患者の検体を集めることができたため、研究の進捗状況は良好であると判断している。当初、抽出できたPBMC中のmRNA量が非常に少なく、qPCRの結果に影響しやすい状態であったため、血漿中PBMC抽出方法の変更を行わざるを得なかった。そのため多少の時間をロスしたが、おおむね予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究結果から、原発性アルドステロン患者におけるMR遺伝子発現量と、RAGEリガンドであるHMGB1の産生量には強い相関関係があるようである。まだ集められた検体数が少ないため、今後もこれらの症例を増やしていくことで更なる解析を行う予定としている。さらに、血漿中の各種終末糖化産物の値とアルドステロン値、MR活性の程度について調べるとともに、酸化ストレスの程度とMR活性および終末糖化産物濃度を検討する予定としている。
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