2017 Fiscal Year Research-status Report
老化に伴う腸上皮バリア機能障害の遺伝子発現調節ネットワークの仕組み
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16K08581
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
朴 恩正 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (20644587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島岡 要 三重大学, 医学系研究科, 教授 (40281133)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化により腸管免疫機能異常が惹起され腸管上皮のバリア機能まで低下するという仮説がショウジョウバエを用いた研究で判明されていたが、哺乳類モデルではまだ解明されていない。我々は老化に伴う腸管上皮細胞の遺伝子発現調節の分子機序を明らかにする目的の一環として、老化マウスモデルを用い小腸と大腸から回収した上皮細胞内のマイクロRNA発現パターンを包括的に分析した。その結果、有意な発現変化を示す多数のマイクロRNAが見つかり、その老化特異的な腸管上皮バイオマーカーとその標的分子との相互遺伝子調節ネットワークとともに、老化特異的バイオロジックパスウェイの分析等を遂行している。今後、定量的PCR方法などでマイクロRNA候補群の発現レベルを確認した上バイオマーカーとしての可能性の高いマイクロRNAの選択を検討する予定である。最近、細胞間コミュニケーションのメッセンジャーもしくはマイクロRNAの伝達者としてエキソソー厶の役割が重要であることが明らかになってきた。私たちは、炎症疾患における腸管エキソソームの性質と機能を調べるためにマウス敗血症モデルの腸管洗浄液のエキソソー厶を回収した後タンパク発現レベルを分析した。その結果、コントロールグループに比べ、上皮細胞マーカーの発現が顕著に上昇したことと、相違なマイクロRNAプロファイルを保つことが分かった。従って、老化、炎症において、腸管上皮細胞由来の細胞外小胞により細胞間遺伝子調節の機序変化に関与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
哺乳類の腸管上皮バリア機能障害に老化及び急性炎症疾患の発生が関与するという仮説の検証を行うため、平成28年度にはマウス老化モデルの小腸と大腸の上皮細胞のマイクロRNA発現パターンを分析した。その結果、加齢に伴って増加するいくつかの腸管上皮マイクロRNAのバイオマーカー候補群が見つかった。平成29年度には、敗血症モデルの腸管洗浄液からエキソソームを分離した後、そのエキソソームに上皮細胞マーカー(EpCAM)の発現レベルが増加したことを確認した。この結果から、敗血症に伴い上皮細胞由来エキソソームの分泌の向上が腸管組織で発生したことが考えられている。現在、正常マウスと敗血症モデルマウスの腸管内空(ルーメン)に分泌されるエキソソームからRNAを抽出し、そのマイクロRNAプロファイルの比較・分析を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症モデルにおいての腸管内空(ルーメン)に分泌されるエキソソームからRNAを抽出しそのマイクロRNAプロファイルを分析する研究が進んでおり、疾患モデルの腸管上皮マイクロRNA候補群とその標的分子との炎症特異的遺伝子調節ネットワークやバイオロジックパスウェイの新たな発見が期待できる。今後、疾患モデルの腸管洗浄液から回収したエキソソームの生化学的特徴や免疫学的機能を究明し、遺伝子情報の伝達メッセンジャーとして生体イメージングへの適用可能性だけでなく炎症抑制への効果などを検討していく予定である。
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[Journal Article] Eosinophil depletion suppresses radiation-induced small intestinal fibrosis2018
Author(s)
Takemura N, Kurashima Y, Mori Y, Okada K, Ogino T, Osawa H, Matsuno H, Aayam L, Kaneto S, Park EJ, Sato S, Matsunaga K, Tamura Y, Ouchi Y, Kumagai Y, Kobayashi D, Suzuki Y, Yoshioka Y, Nishimura J, Mori M, Ishii KJ, Rothenberg ME, Kiyono H, Akira S, Uematsu S
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Journal Title
Science Translational Medicine
Volume: 10
Pages: 264-273
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Development of immune and microbial environment is independently regulated in the mammary gland2018
Author(s)
Niimi K, Usami K, Fujita Y, Abe M, Furukawa M, Suyama Y, Sakai Y, Kamioka M, Shibata N, Park EJ, Sato S, Kiyono H, Yoneyama H, Kitazawa H, Watanabe K, Nochi T, Aso H
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Journal Title
Mucosal Immunology
Volume: 印刷中
Pages: ―
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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