2018 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of intestinal immunity by an intestinal epithelial-specific protein tyrosine phosphatase
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16K08624
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村田 陽二 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (60400735)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | チロシンホスファターゼ / 腸上皮細胞 / 腸管免疫 / 腸炎 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、腸上皮細胞に発現するチロシンホスファターゼSAP-1とその基質分子である膜型分子CEACAM20により形成されるSAP-1-CEACAM20シグナルが腸管免疫の制御に関与し、このシグナルの破綻が炎症性腸疾患の増悪化に関与する可能性をこれまでに報告している。しかしながら、SAP-1の生理機能やその作用機構の詳細については十分に明らかとはなっていない。そこで、本研究申請ではSAP-1による腸管免疫制御機構の解析を進めた。1) 昨年度に続き、CEACAM20遺伝子破壊(KO)マウスを用いた腸炎モデルの解析から、腸炎の病態形成にCEACAM20が関与する可能性があり、また、CEACAM20 KOマウスの飼育環境の違い(KOマウスと野生型マウスを同一ケージ内で飼育するか否か)により、腸炎の重症度が変化する可能性を見出した。野生型マウスとの個別飼育環境では、CEACAM20 KOマウスにおいて腸炎の重症度が高くなる傾向があり、同一飼育環境では両マウス間で同等もしくは野生型マウスにおいて腸炎の重症度が高くなる傾向が認められた。2)SAP-1シグナル系と腸内細菌との関連についてSAP-1 KOマウスを用いた解析から、腸内細菌依存的な腸上皮細胞のアピカル面におけるチロシンリン酸化の制御にSAP-1が関与する可能性を見出した。2)前年度と同様に、SAP-1シグナル系の関連分子として、Srcファミリーキナーゼに着目し、腸上皮細胞特異的にその恒常的な活性化を引き起こしたマウスを用いた解析を進めた。その結果、腸上皮細胞において恒常的なSrcチロシンキナーゼの活性化を引き起こしたマウスでは、薬剤誘導性の腸炎に対して高い感受性を示した。さらに、野生型マウスに比べ、Srcチロシンキナーゼの活性化を引き起こしたマウスでは腸炎誘導時における細胞間接着分子occludinの著明な発現量の低下が腸上皮細胞において認められ、腸炎の増悪化には上皮バリア機能の低下が関与する可能性が示唆された。
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Remarks |
神戸大学大学院医学研究科 生化学・分子生物学講座 シグナル統合学分野大学院医学研究科 http://www.med.kobe-u.ac.jp/tougou/signal/Home.html
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Research Products
(5 results)