2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K08656
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
及川 浩樹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50285582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 寛太 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (00405804)
増田 友之 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10199698)
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
新田 浩幸 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (70326677)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 細胞接着 / afadin |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性腫瘍の進展において、原発巣からの腫瘍細胞の離脱と周囲組織への浸潤というプロセスが重要である。肝細胞癌においても、その不良な予後は、腫瘍の浸潤としばしば認める肝内転移、そして肝外転移によってもたらされる。このプロセスには細胞間接着の減弱や破綻が大きく関わっている。そこで、我々はadherens junction (AJ)を構成する分子であるafadinの発現変化が肝細胞癌の進展に影響を与えるかを検討した。1. ヒト肝細胞癌15例に関して、afadinの発現を免疫染色で検討すると、全例の非癌部ではafadinの発現を認めたが、10例の癌部では、その発現は低下していた。2. afadinの発現の高かった高分化肝細胞癌株であるHepG2において、siRNAでafadinの発現を抑制すると、浸潤能は亢進した。一方、未分化肝細胞癌株で、afadinの発現が低下していたHLE、HLFでafadinの発現を亢進させたstable cell lineを作製すると、afadinの発現亢進により浸潤能は抑制された。3. 浸潤能の変化に関与している分子機構を検討すると、afadinの発現変化でERK1/2とAktのリン酸化には明らかな変化を認めなかったが、Srcのリン酸化に変化を認めた。4. 更にsiRNAでafadinの発現を抑制したHepG2にSrc inhibitor (SU6656)を添加し、浸潤能を検討すると、亢進した浸潤能は抑制された。これらのことから、肝細胞癌の浸潤能の亢進にはafadinの発現低下とこれによってもたらされるSrcのリン酸化が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病理診断業務および教育等のため、研究に十分な時間をとることができなかった。 また、研究計画遂行にあたり、afadinの発現を亢進させたstable cell lineを作製できたため、機能変化や、それを制御する分子について、検討することはできたが、逆にafadinの発現低下を示すstable cell lineの作製に時間を要したため、発現変化に伴って変化する機能や、それを制御する分子について総合的、十分に検討することができず、研究計画の遅れを招いてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
HepG2でafadinの発現低下を示すstable cell lineを完成させると共に、afadinの発現変化で変化する機能を更に検討し、それに関わる分子機構を明らかにする予定である。また、組織的解析も十分ではないため、免疫染色により肝細胞癌におけるafadinの発現を更に検討すると共に、分化度との関連、上記機能変化に関連する分子の発現も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究計画がやや遅れているため、繰り越しが生じてしまった。 (使用計画) afadinの発現低下を示すstable cell lineを早急に完成させると共に、更にafadinの発現変化で変化する機能とそれを制御する分子機構を明らかにする予定である。組織的にも更に検討する肝細胞癌例を増やし、afadinの発現状態と分化度との関連を検討すると共に、上記機能変化に関与することが示唆される分子の発現状態も検討する予定である。
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[Journal Article] Camosic acid, an inhibitor of NAD(P)H quinone oxidoreductase 1, enhances the cytotoxicity of β-lapachone in melanoma cell lines.2018
Author(s)
Arakawa N, Okubo A, Yasuhira S, Takahashi K, Amano H, Akasaka T, Masuda T, Shibazaki M, Maesawa C.
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Journal Title
Oncol Lett
Volume: 15
Pages: 2393-2400
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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