2017 Fiscal Year Research-status Report
全ゲノム的遺伝子増幅解析による胃癌分子標的治療適応の最適化に関する検討
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16K08687
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
尾山 武 金沢大学, 医学系, 助教 (00515314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 律子 金沢大学, 医学系, 助教 (20632657)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Array CGH / 腫瘍微小環境 / FISH / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、倫理審査委員会で使用が承認された金沢大学附属病院に保管されている胃癌手術材料のホルマリン固定・パラフィン包埋検体を用いて、HER2を標的とした分子標的治療に対して抵抗性を示す原因となる可能性が推測される遺伝子を特定するために、HER2遺伝子との同時増幅を示す遺伝子の探索を試みた。具体的には、免疫組織化学的方法にてHER2の過剰発現が見られ、かつFluorescence in Situ Hybridization (FISH)法にてHER2遺伝子の増幅が確認された検体から抽出されたDNAに対してAffimetrix OncoScan assayを用いた全ゲノム的な遺伝子増幅の解析を行なった。その結果、対照群と比較して4倍以上の増加を示す染色体の領域が複数特定された。 本年度は、それらの遺伝子のうち、特に腫瘍の微小環境形成に関連があることが示唆されている一つの遺伝子に着目し、その遺伝子に関する様々な検討を行った。まず、その遺伝子を含むBacterial Artificial Chromosome cloneよりFISH probeを作成し、それを用いて胃癌FFPE検体100例に対してFISH法を施行した。この遺伝子における増幅は胃癌においては報告が極めて少ないものであり、その遺伝子増幅の頻度に関しては、これまでのところ報告が知られていない。この遺伝子増幅の頻度は非常に低いため、対象となる検体を増やすことにより正確な遺伝子増幅の頻度を算出しているところである。 さらに本年度は、この遺伝子が発現するタンパクに対する免疫組織化学染色を行い、その発現の程度を3段階で評価し、遺伝子増幅との相関を検討したところ、遺伝子増幅数とタンパク発現の強度には有意な正の相関が確認された。この遺伝子の増幅やタンパク発現の程度と、患臨床病理学的因子との相関を検討したが、有意なものは得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃癌検体の使用に関して、倫理審査委員会で承認を得た。そこから、金沢大学附属病院病理部に保管されているれた胃癌手術材料のホルマリン固定・パラフィン包埋検体を用いて、免疫組織化学的方法にてHER2の過剰発現が見られ、かつFISH法にてHER2遺伝子の増幅が確認された検体から抽出されたDNAに対して、Affimetrix OncoScan assayを用いた全ゲノム的な遺伝子増幅の解析を行なった。解析結果から対照群と比較して4倍以上の増加を示す染色体の領域を選出した。遺伝子増幅が示唆された領域に含まれる遺伝子に対して、BAC cloneよりFISH probeを作成した。それを用いて胃癌FFPE検体100例に対するFISH法を施行した。さらに、この遺伝子が発現するタンパクに対する免疫組織化学染色を同数行い、その発現の程度を3段階で評価し、遺伝子増幅との相関を検討した。その遺伝子の増幅シグナル数とタンパク発現の強度には有意な正の相関が確認された。この遺伝子の増幅やタンパク発現の程度と、年齢、性別、進行度、リンパ節転移、リンパ管侵襲および静脈侵襲などの臨床病理学的な因子との相関を検討したが、有意なものは得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、この遺伝子増幅と腫瘍周囲に浸潤している炎症細胞浸潤の数や分布との相関に関して、免疫組織化学染色を行うことにより評価を行っているところである。ある炎症細胞の分布が、この遺伝子増幅と関わっている可能性を示唆する所見が、少数の検体において得られたため、検体数を増やすことにより、その所見が有意なものであるかどうかを検討しているところである。
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Causes of Carryover |
解析の対象となる遺伝子の候補が得られたが、当初推測されていた臨床病理学的な因子ではなく、腫瘍微小環境に関与する炎症細胞の数や分布に関しての解析が必要となったため、そのための試薬に関して最適なものを慎重に選択している。
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Research Products
(3 results)