2017 Fiscal Year Research-status Report
滑膜肉腫における腫瘍幹細胞維持機構の解明と治療への応用
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16K08703
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 太一 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (客員准教授) (90435959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 真寿美 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431307)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 滑膜肉腫 / 癌幹細胞 / 稀少癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で我々は滑膜肉腫幹細胞特異的にSS18-SSXに結合するタンパクを同定し、その結合により制御されるプロモーター領域と転写調節のメカニズムを解明することで腫瘍幹細胞の性状解析、新規治療法の創出を目指すものである。 昨年度にcDNAマクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現比較解析によりCXCR4陽性の滑膜肉腫幹細胞及び幹細胞培養群で特異的に発現上昇する遺伝子とSS18-SSXにより腫瘍幹細胞中で発現制御される可能性のある15遺伝子を候補遺伝子として抽出した。これらの15遺伝子はいずれも幹細胞性や転写調節にかかわるものであり、候補遺伝子の抽出はおおむね妥当と考えている。本年度は引き続き15遺伝子の解析を進め、このうち2遺伝子が滑膜肉腫幹細胞特異的に発現制御されている可能性が示唆されたため、レンチウィルスベクターを用いたノックダウン細胞株を樹立し引き続き解析を継続中である。 腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合タンパクの同定に関しては、本研究課題に先んじて施行した研究により幹細胞培養群でのみ結合する11のタンパクの他、質量分析計を用いた詳細な解析により新たに15の候補タンパクを同定した。大部分の候補タンパクは核内で転写調節にあずかるものであり、またそのうちの一つであるRBM14は実際にSS18-SSXとの結合が報告されていることから、結合実験の結果は概ね妥当と考えている。本年度は候補タンパクのうち文献上幹細胞性の制御にかかわる可能性が高い1つについてレンチウィルスベクターを用いたノックダウン細胞株を樹立し引き続き解析を継続中である。 腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合プロモーター領域の網羅的同定に関しては、引き続きChIPアッセイを施行する際の至適条件の検討を行っており、次年度に本実験を施行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cDNAマクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現比較解析によりCXCR4陽性の滑膜肉腫幹細胞及び幹細胞培養群で特異的に発現上昇する遺伝子とSS18-SSXにより腫瘍幹細胞中で発現制御される可能性のある15遺伝子として、各遺伝子のgene annotationも考慮し、15遺伝子を同定した。このうちASCL2およびFOXD3が滑膜肉腫幹細胞特異的に発現制御されている可能性が強く示唆されたため、レンチウィルスベクターを用いたノックダウン細胞株を樹立し、ノックダウン効率の評価、増殖能、幹細胞関連遺伝子の発現変動を中心に引き続き解析を継続中である。 腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合タンパクの同定に関しては、本研究課題に先んじて施行した研究により幹細胞培養群でのみ結合する11のタンパクの他、質量分析計を用いた詳細な解析により新たに15の候補タンパクを同定した。大部分の候補タンパクは核内で転写調節にあずかるものであり、またそのうちの一つであるRBM14は実際にSS18-SSXとの結合が報告されていることから、結合実験の結果は概ね妥当と考えている。現在までに文献検索等の情報から幹細胞性の制御、維持に関与するタンパクや分子標的薬や特異的阻害剤が存在するタンパクとしてPARP1を抽出し、レンチウィルスベクターを用いたノックダウン細胞株を樹立し、ノックダウン効率の評価、増殖能、幹細胞関連遺伝子の発現変動を中心に引き続き解析を継続中である。 腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合プロモーター領域の網羅的同定に関しては、現在ChIPアッセイを施行する際の各種条件検討を行っている。具体的にはサンプルの準備条件として充分量のクロマチンを得るための幹細胞培養スケールの検討、幹細胞濃縮のクォリティチェック、クロマチン断片化のための界面活性剤濃度及び超音波破砕条件の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
cDNAマクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現比較解析によりCXCR4陽性の滑膜肉腫幹細胞及び幹細胞培養群で特異的に発現上昇する遺伝子とSS18-SSXにより腫瘍幹細胞中で発現制御される可能性のある2つの候補遺伝子に関しては、滑膜肉腫細胞株を幹細胞培養し、抗CXCR4抗体とセルソーターを用いてCXCR4陽性細胞、陰性細胞をそれぞれ分取したサンプルと、SS18-SSXを一過性に過剰発現させたのちに幹細胞培養を行ったサンプルを用意したうえでリアルタイムPCR法によりcDNAマイクロアレイの結果を追試することでさらなる絞り込みを行う。並行して樹立したノックダウン細胞株を用いて、滑膜肉腫幹細胞の維持に対する影響を解析し滑膜肉腫の治療標的となり得るかどうかを検証する。 腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合タンパクの同定に関しては、幹細胞性の維持、制御に関与する可能性から絞り込んだPARP1に対して免疫沈降法によりSS18-SSXとの結合確認を行う。並行して樹立したノックダウン細胞株を用いて、滑膜肉腫幹細胞の維持に対する影響を解析し滑膜肉腫の治療標的となり得るかどうかを検証する。 腫瘍幹細胞特異的なSS18-SSX結合プロモーター領域の網羅的同定に関しては、ChIPアッセイを施行するサンプルの条件設定が完了し次第、ChIPアッセイで使用実績のある抗ヒストンH3K27トリメチル化抗体を用いて、マウスIgG抗体を陰性対照としてChIPアッセイを行い沈降するクロマチン量を指標に条件の最適化を行う。また沈降したクロマチン中に既報の論文で存在が確認されている遺伝子領域が含まれているかどうかをリアルタイムPCR法により検証し、これらの初期条件検討が終了次第幹細胞培養を行った滑膜肉腫細胞株とSWI/SNF複合体のコアサブユニット及びSS18-SSXに対する抗体を用いて本実験を進めていく。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Interferon-inducible Mx1 protein is highly expressed in renal tissues from treatment-naiive lupus nephritis, but not in those under immunosuppressive treatment.2017
Author(s)
Shimizu Y, Yasuda S, Kimura T, Nishio S, Kono M, Ohmura K, Shimamura S, Kono M, Fujieda Y, Kato M, Oku K, Bohgaki T, Fukasawa Y, Tanaka S, Atsumi T
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Journal Title
Modern Rheumatology
Volume: Epub ahead of print
Pages: Epub
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Disseminated toxoplasmosis after hematopoietic stem cell transplantation showing unusual magnetic resonance images.2017
Author(s)
Tateno T, Onozawa M, Hashiguchi J, Ishio T, Yuzawa S, Matsuoka S, Kosugi-Kanaya M, Okada K, Shiratori S, Goto H, Kimura T, Sugita J, Nakagawa M, Hashimoto D, Kahata K, Fujimoto K, Endo T, Kondo T, Tanaka S, Hashino S, Teshima T
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Journal Title
TRANSPLANT INFECTIOUS DISEASE
Volume: 19
Pages: e12720
DOI
Peer Reviewed
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