2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the KLF protein complex in intestinal tissues and development of new drugs to suppress protein-protein interactions for the treatment of colorectal cancer
Project/Area Number |
16K08718
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
仲矢 丈雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (80512277)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | KLF5 / 蛋白間相互作用阻害 / 大腸癌 / 癌分子創薬 / 天然変性蛋白 / 転写因子 / 心不全 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
私達は、KLF5が腸上皮幹細胞からの腫瘍形成に必須であることを解明した(Cancer Res 2014)。この成果はKLF5が大腸癌治療の有望な分子標的であることを示す。しかし、KLFは立体構造が未解明な天然変性蛋白で、立体構造に基づく阻害薬開発ができない。このため、KLFに対する阻害薬開発は困難であった。 そこで、私達は独自の方法で困難を克服し、KLF5の蛋白間相互作用を阻害すると予想される低分子化合物による新しい抗癌薬の分子創薬を試みた。その結果、私達は、KLF5阻害化合物(NC化合物)が、ヒト大腸正常細胞を傷害せずヒト大腸癌細胞を選択的に抑制し、ヌードマウスに移植したヒト大腸癌細胞を抑制しin vivoで腫瘍抑制能を示すことを見出した。また、NC化合物が大腸癌細胞ではKLF5等の蛋白量を抑制するが、正常細胞ではこれらの蛋白量を抑制しないことを見出した。また、化学構造と腫瘍細胞抑制能の間に構造活性相関があることを見出し、構造活性相関に基づく化合物合成により腫瘍抑制能の高い化合物を創製した。 さらに、最近、我々は、理研長田裕之博士らとの共同研究で化合物結合ビーズを作製し、化合物結合蛋白を高感度の質量分析により網羅的に同定した。この化合物結合蛋白の結果に基づき、なぜKLF5蛋白の量を減少させるかなど、化合物の分子作用機構を説明できることを明らかにした。 さらに、我々は、in vivoにおけるKLF5蛋白複合体解明のための実験系の構築を進めており、興味深い結果が得られている。 私達は、KLF5阻害化合物が心不全モデルマウスの病態を改善することも見出している。ここから、本化合物は心機能を改善しかつ癌を抑制する臨床上のアンメットニーズに応える新たな分子創薬に発展する可能性が高いと期待される。
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