2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular and cellular mechanisms of the chronic GVHD-associated impairment of bone marrow hematopoietic niche
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16K08730
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
上羽 悟史 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 准教授 (00447385)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | GVHD / 線維化 / 同種造血幹細胞移植 / PDGF |
Outline of Annual Research Achievements |
移植片対宿主病(GVHD)を経験した同種造血幹細胞移植患者に遷延する免疫・造血不全は、移植関連死の主要因である感染症や出血をもたらす重大な問題であるが、その発症機序ならびに根本的な予防・治療法は確立していない。本研究では、慢性GVHDに伴う骨髄間葉系細胞障害の細胞・分子機序を解明し、新規予防・治療戦略の礎を築くことを目的とした研究を実施した。昨年度までに、マウス慢性GVHDモデルを用いて、慢性GVHD発症時には、骨髄線維化を伴う広範な血球減少が発症すること、骨髄線維化の進展にはPDGF-A, CTGFなどの成長因子を 介した、NF-kb, STATパスウェイが関与すること、イマチニブ投与によりPDGFシグナルを阻害すると、骨髄線維化病変が抑制される一方で汎血球減少は改善しないこと、移植後早期に抗CD4抗体を投与することで、骨髄障害を予防出来ることを見いだした。慢性GVHDの遷延に関わる病的T細胞の維持機構を解析し、ドナー成熟T細胞に由来するCD8陽性graft-Tは、宿主抗原を取り込んだgraft professional APCによる間接提示を認識することで標的臓器に於いて維持されていることを明らかにした。さらに、graft-Tを除去すると標的臓器においてHSC-Tが代償的に増加し、graft-TとHSC-Tの総和として はほぼ一定に収まること、すなわち病的T細胞を維持するニッチには一定のキャパシティがあることを明らかにした。今年度は病的T細胞の動態・維持機構をクローンレベルで解析するため、次世代DNAシーケンサーを用いた独自のnon-biasなTCRレパトア解析法を開発した。この技術は、高感度、低価格、ハイスループットであり、今後慢性GVHDの病態解明に活用する予定である。
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