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2017 Fiscal Year Research-status Report

小腸の機能制御と恒常性維持における腸管グリア細胞とカルシニューリンの役割

Research Project

Project/Area Number 16K08744
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

田中 正彦  名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (60267953)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords細胞・組織 / 神経科学 / 小腸 / グリア細胞 / カルシニューリン / 蠕動運動 / 消化・吸収 / 炎症
Outline of Annual Research Achievements

グリア細胞特異的カルシニューリンノックアウトマウスの小腸の異常を明らかにするために、以下の実験を行った。
1.このノックアウトマウスの小腸では蠕動運動低下と炎症が起こっていることを昨年度明らかにしたが、これらの表現型とマウスの日齢及び体重減少との相関関係を解析した。蠕動運動低下は日齢及び体重減少と正の相関関係にあることが示された一方で、炎症の程度(myeloperoxidase活性)は日齢及び体重減少と明確な相関関係を示さなかった。ノックアウトマウスの成長とともに蠕動運動低下と体重減少が進行する一方で、炎症の発生・増悪は別のタイミングで生じると考えられる。
2.アルカリホスファターゼ活性を利用して小腸の上皮細胞を染色して観察することによって、ノックアウトマウスの小腸上皮が変性していることが示された。
3.糞中の栄養分(糖質、蛋白質、脂質)を定量したところ、ノックアウトマウスにおいてグルコース及びデンプン含量が有意に多かった。脂質含量も多い傾向にあったが、有意差は認められなかった。蛋白質含量には差が見られなかった。一方で、血清中の栄養分を定量したところ、グルコース濃度は減少していたが、蛋白質濃度には差が見られなかった。これらの結果より、ノックアウトマウスにおいて特に糖質の消化・吸収が低下していることが示された。
4.小腸における免疫細胞(肥満細胞、好中球、マクロファージ)の集積・浸潤を観察したところ、ノックアウトマウスにおいてより多くの肥満細胞が認められた。好中球とマクロファージについては、明確な染色像が認められなかった。
また、レポーターマウスを用いた解析によって、このノックアウトマウスの小腸神経叢で組換えが起こっている細胞はグリア細胞であることを確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度から今年度にかけての研究によって、グリア細胞特異的カルシニューリンノックアウトマウスの小腸で蠕動運動が低下するとともに変性と炎症が起こっていること、また、このノックアウトマウスで消化・吸収不良が起こっていることを示すことができた。これによって、このノックアウトマウスにおける低成長と離乳期後の衰弱・死亡という表現型の原因を、おおむね説明することができるようになった。よって、本研究はおおむね順調に進展していると考えらえる。
糞中の栄養分の解析に関しては、脂質含量が本当に増加しているかどうかという問題が残されているため、次年度に検討する予定である。

Strategy for Future Research Activity

1.炎症発生の確認:小腸において肥満細胞以外の免疫細胞(好塩基球、好中球、リンパ球、マクロファージ)の集積・浸潤が起こっているかどうかを観察するとともに、炎症性サイトカインの産生量や分泌量を測定する。
2.グリア細胞の形態学的・免疫細胞化学的異常の有無の解析:ノックアウトマウスのグリア細胞ではカルシニューリンの下流シグナルであるNFATの活性化が低下していることが示されているが、さらに、カルシニューリンシグナルの異常がグリア細胞の形態やマーカー蛋白質の発現異常にもつながるかどうかを調べる。
3.グリア細胞以外の腸管神経系細胞の異常の有無の解析:グリア細胞の異常によって、神経細胞やカハール介在細胞にも間接的な異常が生じていないかどうかを形態学的に調べる。
4.小腸グリア細胞と神経細胞・上皮細胞との相互作用の異常の解析:小腸グリア細胞から放出されて神経細胞や上皮細胞に対して働く可能性がある栄養因子・生理活性物質の産生量や分泌量がノックアウトマウスで低下しているかどうかを調べる。
5.ノックアウトが起こっている細胞種の正確な確認:腸管グリア細胞には4種類のサブタイプがあることが知られているが、このノックアウトマウスにおいてすべての種類のグリア細胞で組換えが起こっているのかどうかは不明であるため、レポーターマウスを用いて組換えが起こっているグリア細胞の種類を正確に確認する。

Causes of Carryover

(理由)
ぴったり使い切ることができなかったため。
(使用計画)
次年度に必要な物品費にあてる。

Research Products

(11 results)

All 2018 2017 Other

All Journal Article Presentation Remarks

  • [Journal Article] Calcineurin B1 deficiency in glial cells induces mucosal degeneration and inflammation in mouse small intestine2018

    • Author(s)
      Maya Fujita, Takaki Yagi, Umi Okura, Jun’ichi Tanaka, Naohide Hirashima, Masahiko Tanaka
    • Journal Title

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      Volume: 41 Pages: 786-796

    • DOI

      10.1248/bpb.b18-00041

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Development of 3D imaging technique of reconstructed human epidermis with immortalized human epidermal cell line2018

    • Author(s)
      Yu Inoue, Katsuma Miyachi, Takaaki Yamada, Satoru Nakata, Sari Ipponjima, Terumasa Hibi, Tomomi Nemoto, Masahiko Tanaka, Ryo Suzuki, Naohide Hirashima
    • Journal Title

      Experimental Dermatology

      Volume: 27 Pages: -

    • DOI

      10.1111/exd.13672

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Expression of the GluA2 subunit of glutamate receptors is required for the normal dendritic differentiation of cerebellar Purkinje cells2017

    • Author(s)
      Masahiko Tanaka, Tomomi Senda, Naohide Hirashima
    • Journal Title

      Neuroscience Letters

      Volume: 657 Pages: 22-26

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2017.07.054

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 小脳プルキンエ細胞の樹状突起形成へのCa2+/カルモジュリン依存性蛋白質リン酸化酵素の関与:単一細胞エレクトロポレーションによるsiRNA導入を用いた解析2018

    • Author(s)
      堀江侑季、荒目俊明、平嶋尚英、田中正彦
    • Organizer
      日本薬学会第138年会
  • [Presentation] マスト細胞の分泌顆粒に局在するCaチャネルOrai-2による細胞内Ca2+濃度制御2018

    • Author(s)
      服部幸希、鈴木 亮、望月雄司、田中正彦、平嶋尚英
    • Organizer
      日本薬学会第138年会
  • [Presentation] ミトコンドリアの融合と分裂が表皮幹細胞の増殖と分化に及ぼす影響の解析2018

    • Author(s)
      井上 悠、長谷川靖司、宮地克真、山田貴亮、長谷部祐一、中田 悟、田中正彦、鈴木 亮、平嶋尚英
    • Organizer
      日本薬学会第138年会
  • [Presentation] GFAP-Cre calcineurin Bαfl/fl miceの小腸における変性・炎症と腸管神経系の異常2017

    • Author(s)
      田中正彦、大倉字海、八木孝樹、平嶋尚英
    • Organizer
      第40回日本神経科学大会
  • [Presentation] Pathological and inflammatory small intestine caused by calcineurin B1 deficiency in glial cells2017

    • Author(s)
      Masahiko Tanaka, Maya Fujita, Takaki Yagi, Umi Okura, Jun'ichi Tanaka, Naohide Hirashima
    • Organizer
      The 47th Annual Meeting of the Society for Neuroscience (Neuroscience 2017)
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] グリア細胞におけるcalcineurin欠損が小腸の変性・炎症と消化・吸収不良を引き起こす2017

    • Author(s)
      大倉字海、平嶋尚英、田中正彦
    • Organizer
      第40回日本分子生物学会年会 (ConBio 2017)
  • [Presentation] Ca2+/カルモジュリン依存性蛋白質リン酸化酵素IIα, IIβ及びIVのトリプルノックダウンが小脳プルキンエ細胞の樹状突起形成を抑制する2017

    • Author(s)
      荒目俊明、堀江侑季、平嶋尚英、田中正彦
    • Organizer
      第40回日本分子生物学会年会 (ConBio 2017)
  • [Remarks] 生体超分子システム解析学分野ホームページ

    • URL

      http://www.phar.nagoya-cu.ac.jp/hp/ybu/HP/index/

URL: 

Published: 2018-12-17  

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