2017 Fiscal Year Research-status Report
サイトメガロウイルス細胞指向性決定因子「ペンタマー」の機能と感染防御誘導能の解析
Project/Area Number |
16K08815
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
井上 直樹 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90183186)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サイトメガロウイルス / 先天性感染 / モルモット / 細胞指向性 / 感染防御 / ペンタマー / 中和 / BAC |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染は新生児300人に1人の頻度で起り、感染児の3割程度に神経学的障害などの疾病を起すため、ワクチン開発が求められている。本研究は、近年見出された内皮・上皮細胞及びマクロファージ指向性を決定するペンタマーと呼ばれる蛋白複合体に着目し、その構造と機能、ペンタマーを介した感染に関与する宿主因子、抗ペンタマー抗体による個体レベルでの感染防御を明らかにすることにより、ワクチンの開発に資することを目的とする。 これまでに、小動物で唯一先天性感染を起しヒトCMVと同様なペンタマーをコードするモルモットCMV(GPCMV)について、BAC改変系を用いてペンタマー構成蛋白GP131に変異導入した解析で、GP131の異なる配列が上皮細胞指向性とマクロファージ指向性に関与することを見出した。また、GP131とGP133の組合せを発現させた細胞にGPCMVを感染させると感染効率が亢進する現象を見出した。本年度は、感染効率の亢進と細胞指向性の関係を明らかにするため、細胞指向性に影響を与えたGP131変異を導入したペンタマー蛋白を発現させ、上皮細胞・マクロファージの両指向性を失わせる変異を有するGP131は感染亢進を起こさないこと、特定の変異が感染効率の亢進を更に高めることなどを見出した。また、塩化アンモニウムを用いた細胞内酸性化阻害により、感染亢進がエンドサイトーシス依存であることを明らかにした。現在、ペンタマー構成蛋白の細胞内局在と感染亢進の関係を検討している。 ヒトCMV臨床分離株20株のペンタマーをコードする5遺伝子の塩基配列解析を行った結果、gHには多くの多型が存在するが、他の4遺伝子には多型が少ないこと、多型がヒト血清による中和能に影響を与えないことを示した。また、抗ペンタマー抗体により、いずれの分離株の感染も中和することが可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペンタマーに関連する蛋白の解析、細胞指向性に関する解析、臨床分離株を用いた中和などの解析が、順調に進んだ。一方、ぺンタマーに結合する宿主蛋白の探索は、免疫沈降にタグ抗体を用いる計画を進めたが、タグを付加したGP131では感染効率の亢進をしないという結果から、当初予定より遅れが見られる。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度の継続を含め、当初の計画通り研究を行う。
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Causes of Carryover |
モルモット個体を用いた感染防御の検討が30年度4月にずれ込んだため。この実験を4月に実施する。
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Research Products
(12 results)