2016 Fiscal Year Research-status Report
UPF1の作用機構から探る自然免疫における転写後制御機構の解明
Project/Area Number |
16K08832
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三野 享史 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (60646149)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自然免疫 / サイトカイン / 転写後制御 / mRNA安定性制御 / Regnase-1 / UPF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,まずRNAヘリカーゼUPF1の自然免疫におけるin vivo機能解析を行なうために,UPF1のコンディショナルノックアウトマウス(Floxマウス)を作製した。そして,LysM-Creマウスと交配させて,ミエロイド(骨髄系)細胞特異的にUPF1を欠損させたLysM-Cre-UPF1(Flox/Flox)マウスを作製した。このUPF1欠損マウスの腹腔内マクロファージをTLRリガンドで刺激し,サイトカイン産生をELISAにより確認したところ,UPF1欠損マクロファージではTNFやIL6の産生が亢進していた。これらのサイトカイン発現はmRNAレベルで亢進していた。したがって,UPF1はサイトカイン産生を転写後レベルで負に制御している考えられる。次に,UPF1により発現量が制御されている遺伝子を網羅的に解析するため,UPF1欠損マクロファージを用いてmRNA-sequencing (transcriptome analysis)を行なった。その結果,UPF1は,IL6などのRegnase-1の標的mRNAだけでなく,TNFなどのRegnase-1の標的以外のサイトカインmRNA制御にも関わっている事が分かった。これは,UPF1がRegnase-1経路以外のサイトカインmRNA安定性制御メカニズムにも関わっていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画通り,主にUPF1のコンディショナルノックアウトマウス(Floxマウス)の作製を進め,UPF1欠損マクロファージにおいてサイトカイン産生が亢進していることを解明した。また,UPF1が,これまで分かっているIL6などのRegnase-1の標的mRNAの制御だけでなく,TNFなどのRegnase-1の標的以外のサイトカインmRNA制御にも関わっている事が分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果より,UPF1がこれまで分かっているRegnase-1経路以外のサイトカインmRNA安定性制御メカニズムにも関わっている可能性が示唆された。そこで,今後はUPF1と結合する新たな制御因子の同定を試みることにより,UPF1による新たなサイトカインmRNA制御機構の解明を試みる。
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Research Products
(11 results)