2017 Fiscal Year Research-status Report
IgG陽性B細胞特異的に発現する新規シグナル分子によるB細胞選択の解析
Project/Area Number |
16K08834
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
疋田 正喜 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60228715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | B細胞 / Parm1 / NPxYモチーフ / チロシンリン酸化 / 細胞内輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
Parm1の細胞質内領域のチロシン残基をフェニルアラニンに置換した変異体を複数作成して、その影響を調べたところ279番目のチロシン残基がParm1の安定な発現に必須であることが明らかとなった。当該チロシン残基は、NPxYモチーフと呼ばれるモチーフに含まれており、NPxYモチーフの機能を阻害したためにParm1が安定に発現できなくなってしまったと予想された。そこで、当該変異体(Y293F)とGFPの融合タンパクを発現し細胞内の局在を検討したところ、小胞体における凝集が認められた。このことは、Y293Fが小胞体からゴルジ体への輸送に異常をきたし、小胞体で分解されていることを示唆していると考えられた。一方で、一部の文献ではNPxYモチーフが機能発現するためにはモチーフ中のチロシン残基がリン酸化されている必要があることが強く示唆されている。一方で、Parm1のNPxYモチーフの役割については、これまで全く検討されておらず、そのチロシン残基のリン酸化が起きているのか否かについては、不明のまま残されている。そこで、Parm1を発現しているA20細胞を小胞体からゴルジ体への小胞輸送を阻害する薬剤であるBrefeldin Aで処理し、Parm1のリン酸化に与える影響について評価した。その結果、ゴルジ体で糖鎖修飾される以前の未熟型Parm1においてリン酸化が認められた。 これらの結果から、Parm1のNPxYモチーフに含まれるチロシン残基はParm1が小胞体からゴルジ体への輸送時にリン酸化を受けると考えられ、このことが正常なParm1の細胞内輸送に必須であることが強く示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Parm1のシグナル伝達機構を詳細に解析する過程で作成した変異体の解析からParm1の発現に必須なチロシン残基が明らかとなったことから、これまで全く知られていなかったParm1の細胞内輸送機構の一端が明らかとなった。また、その過程で、NPxYモチーフのチロシンリン酸化が必須であることも明らかとなった。これまで、NPxYモチーフのリン酸化については、ごく一部の論文で解析が行われているにすぎず、詳細が明らかになっていなかったことから、本研究の結果は、Parm1に限らず一般的な分子群の小胞体からゴルジ体への輸送に関する知見を明らかにできる可能性を秘めており、非常に重要な成果であると考えられる。このような点より、当初の予想を上回る成果が出ていると考えることから、当初の計画以上に進展しているとされる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、戻し交配を行ったNZBマウスにおけるParm1の発現様式や、病態に与える影響について詳細に解析を加える。また、NPxYモチーフに加えてITIMモチーフについてもリン酸化の有無についても詳細な検討を行う。
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Causes of Carryover |
最終年度に計画していたマウスの交配が予定より順調に進んだため、当初、最終年度で計画していた交配実験とそれに関わる経費を今年度に前倒しして使用した。そのため、次年度使用額は発生しているが、研究計画は当初計画から大きな変更はない。ここで生じた次年度使用額は、当該経費の残額によるもので、引き続き順調に繁殖が進められれば、計画の変更なく使用できると考えられる。
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Research Products
(1 results)