2016 Fiscal Year Research-status Report
特殊上皮細胞、M細胞の抗原取り込み機能の包括的理解
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16K08836
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 慎太郎 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授(常勤) (80447333)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | M細胞 / 抗原取り込み / 粘膜免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究代表者がこれまでに同定した新たなM細胞特異的発現遺伝子群の1つである、allograft inflammatory factor 1 (Aif1)のM細胞における機能を詳細に解析した。 qPCR、免疫染色の結果から、Aif1の発現は腸管上皮細胞系列ではM細胞に特異的であることを確認した。次に、Aif1の生体内での機能を解析するために、Aif1欠損マウスを作製した。抗原取り込み能を比較するために、蛍光標識されたビーズもしくは腸内細菌の一種を経口投与し、パイエル板内に取り込まれたそれらを計測したところ、Aif1欠損マウスではどちらの取り込みも有意に減少していた。次に、腸管病原性細菌としてサルモネラとエルシニアの取り込み実験を行ったところ、Aif1欠損マウスに於いては、エルシニアの取り込みが顕著に減少していた。 Aif1は、マクロファージなどの貪食作用に寄与していることが報告されていることから、上記の結果が、これらの細胞群による貪食能が弱まったためである可能性があった。そこで、Aif1欠損マウスに野生型の骨髄を移植して(また、それとは逆のマウスを作製して)同様の解析を行った。その結果、野生型マウスはAif1欠損マウスの骨髄を移植されても、物質の取り込みが認められた。逆にAif1欠損マウスは野生型の骨髄を移植しても物質の取り込みが改善するはなかった。これらの結果は、抗原の取り込みにはM細胞中でAif1が発現し機能することが重要であることを示している。 宿主側のエルシニア受容体としてβ1インテグリンが知られているが、免疫染色による実験から、Aif1欠損マウスのM細胞上ではβ1インテグリンの活性化が起こっていないことが明らかとなった。 以上の結果から、Aif1はM細胞に於いて、抗原取り込みの際のアクチン重合およびβ1インテグリンの活性化に重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、M細胞の抗原取り込み能に直接寄与する分子として、Aif1を世界に先駆けて発見し、その作用機序も含め原著論文としてまとめ上げることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Aif1以外の候補分子について、M細胞における機能解析を進め、M細胞による抗原取り込み能の全容を解明を目指す。 M細胞特異的発現分子のさらなる同定と、その機能解析を並行して進める予定である。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたELISAアッセイキットが、年度内の納入が間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該キットを発注し、納品してもらう予定である。
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Research Products
(3 results)